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【転職情報】利益相反取引の実態は?M&A仲介会社出身者が語ります

近年、デキる営業マンの転職先として名前の上がることが多い、M&A仲介会社。年収の高さやそのやりがいが転職理由として挙げる方が多い一方で、比較的新しい業界であるがゆえに、不安も多いようです。自身のキャリアを描いた時の長期的な将来性への不安や利益相反取引だという指摘事項など、M&A仲介会社出身者が直接ご相談に乗らせていただくキャリアラダーの視点で解説したいと思います。なお、将来性については下記の記事ですでに紹介しておりますので、今回は利益相反取引という観点で解説したいと思います。

政府が指摘した利益相反取引

政府は、日本経済が抱える課題の一つとして、後継者不在問題を挙げ、税制優遇や助成金の設置などで課題解決をおこなってきました。課題解決の根幹を担うM&A仲介会社もその恩恵を受けてきた背景があります。2020年12月、突如衆議院議員の河野太郎氏のブログに「中小企業のM&A」という題名の記事が掲載されたことが話題となりました。

内容は、後継者不在問題の担い手となるM&A仲介会社の必要性を示すとともに、仲介型のビジネスモデルが利益相反取引の可能性を含んでいると批判的な見解を示したのです。実際に大手M&A仲介会社で勤務していた筆者は、現場で働いていた身としてこの利益相反問題をどのように捉えているかを記載したいと思います。

なぜ中小企業のM&Aでは仲介型が主流となっているのか

M&A仲介業界はここ30年くらいで成長してきた市場です。現在、東証の最上位市場であるプライム市場に籍を置く会社は3社あり、株式市場からもその必要性を認められた業界であると言えるでしょう。そして、上場している3社はいずれも仲介型のビジネスモデルです。その意味では、顧客からも選ばれているのが仲介型と言えますね。その理由は下記の2つが挙げられると思います。

多数対多数のマッチングが求められるから

中小企業のM&Aは、日本の企業の中で最も多い中小企業同士のM&Aとなることがほとんどです。つまり、多数対多数のマッチングでは、仲介型の方がマッチングを実現しやすいのです。

お金だけではない理由で譲渡先を選びたい譲渡企業のオーナーが多いから

上場企業が絡むM&Aでは、金額の妥当性が極めて重要です。それは、譲渡企業と譲受企業のそれぞれの株主にとって納得感のある説明をすることが求められるからです。株主の立場を考えれば当たり前ですよね。従って、このような大企業が絡むM&Aでは、譲渡企業と譲受企業に別々のアドバイザーがつき、入札形式でM&Aを進めていくことが多いのです。しかし、中小企業同士のM&Aでは、金額だけではなく譲受企業の社長の人柄や戦略が金額以上に重視されることも多いのです。その場合は、譲渡企業と譲受企業に別のアドバイザーを付けるよりも、仲介者が間を取り持った方が複数の譲受候補先企業の定性的な面がダイレクトに伝わり、結果的に譲渡企業のオーナーとしては納得感のある取引が可能となります。

大手M&A仲介会社出身者だけが知る、利益相反取引の具体事例2つ

前段で、仲介型のM&Aの必要性を述べてきましたが、河野氏のブログにもある通り、利益相反取引と言われてもおかしくないことが実務上行われていることも事実です。しかし、重要なことは多くの利益相反取引はビジネスモデルの欠陥によって起こるわけではなく、下記の例のように、M&Aアドバイザーの倫理観の欠如によって起こるものであるという点です。M&A仲介会社に転職された際には、是非とも顧客に信頼される中立なアドバイザーを目指していただきたいと考えています。

譲受企業から規定料金よりも高い成功報酬を受け取る

このケースが最も多いと思います。譲受企業にとっても納得感があり、かつM&Aアドバイザーも得をするためです。ただ、譲渡企業にとっては本来もらえるはずだった株式の対価が減ってしまうため、過剰に譲受企業に偏ったM&Aアドバイザーが引き起こした利益相反取引と言えるでしょう。

例えば、譲受企業はある会社を10億円で買収したいと考えていたとします。しかし、M&Aアドバイザーは譲渡企業のオーナーから最悪8億円で売ってもいいよという話をされていたとします。つまり、売り買いの希望株価に2億円のギャップがあるということです。この状況では、譲受企業の希望価額である10億円で取引を成立させることが多いのですが、譲受企業に偏ったM&Aアドバイザーの場合、「あと2億円株価を下げるので、その半分の1億円を成功報酬として追加でいただけませんか」という話を振るのです。譲受企業にとっては、1億円も買収金額が下がるわけなので、手数料は高くなりますが、その話に乗るインセンティブが働きます。ただ、譲渡企業のオーナーとしては、本来10億円で売れるはずだったのにも関わらず、2億円も株価が下がってしまうわけです。M&Aアドバイザーを信頼して、最悪8億円で売ってもいいよという話をしていたにも関わらず、それを逆に悪用されてしまった例です。

説明するべきことを説明せずに無理やり進めてしまう

M&Aアドバイザーは、譲渡企業と譲受企業双方の考えがわかるため、極めて情報優位性が高い地位に居ると考えています。だからこそ、しっかりと伝えるべきことは伝え、顧客が経営判断を間違えないようにしなければなりません

しかし、例えば譲受企業がリストラを計画している場合や、譲渡企業に決算書には計上されていない借金がある場合など、「これを言ったらM&Aがなくなってしまう」と考えたM&Aアドバイザーが顧客に伝えずに話を進め、M&Aが成立すればいいという開き直りもあって、無理矢理M&Aを進めてしまうケースがあります。

M&Aアドバイザーにとっては、M&Aが成立すれば業務は終了するわけですが、顧客としては、成立してからがスタートです。「M&Aが成立すればいい」という観点は、全く顧客のためになっていません

仲介型のM&Aが禁止される可能性はあるのか

筆者としては、仲介型の禁止は考えられないと思います。そもそも、日本では不動産仲介業が成立しているように、仲介ビジネスに馴染みのある民族であり、M&Aでも仲介型が市民権を得ていることは納得感があります。一方で、不動産で言うところの重要事項説明書をM&A業界に横展開するなどの可能性はあると思います。

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