2024年1月30日に公開された『M&A総研HDの2024年9月期 第1四半期 決算』について分析していきます。
目次
決算説明資料から読み解く好調理由
※2024年9月期_第1四半期_決算説明資料 より引用
売上高の伸びは採用力と未経験の早期戦力化
決算説明資料の決算サマリーをみるだけで、どれほど成長しているのかが一目瞭然です。
売上高は前年同期比で130.6%増の49億円・営業利益率68.4%となっています。
M&A仲介業界は、労働集約型のビジネスモデルのため売上高をあげるには採用が成功しているかが非常に重要です。この1年間で100名以上(122.2%増)を採用しているため、その分売上が押し上げられていると考えられます。
通常M&Aアドバイザーは採用してから戦力化までに1年以上かかると言われています。しかし、増加人数を上回るペースで売上高も伸びていることから、1年以内の早期戦力化がしっかりと行なわれていることが分かります。
採用経費の影響を感じさせない徹底したコスト管理
また、採用人数をここまで増やせばそれだけ経常利益にマイナスの影響がありますが、前年と同水準の経常利益率68.4%となっている。徹底したコスト管理がなされていることもうかがえます。
既に84名の増員・今期増員計画139名で今後も売上高の好調は続く
「1月時点での内定承諾者を含むM&Aアドバイザー数は+84名」と記載されているように、採用スピードはまだまだ堅調に進んでいるようです。2024年9月期の実績予想である15,300百万円(前期比+ 77.0%)は容易に達成できるのではないかと考えられます。
大型案件の増加により成約単価が増えているが成約期間は横ばい
大型案件数が9件(前年同期4件)となり、成約単価が74百万円(前年同期61百万円)と増加していますが、成約期間は6.7ヵ月(前年同期6.6ヵ月)とほとんど変わらず高水準を維持できています。業界内でも短い期間での成約を維持できているのは、やはりM&Aアドバイザーが働きやすい環境づくり・DX化/効率化がしっかりと進んでいることの裏付けとなりそうです。
大手3社と比較した「M&A総合研究所」
M&A仲介業界で御三家といわれる「日本M&Aセンター」「M&Aキャピタルパートナーズ」「ストライク」と比較してみていきます。
以下の表は2024年1月30日で発表された四半期決算の単独で比較しています。
24/01/30発表 四半期決算 | 売上高(百万円) | 成約組数 | 1件当たり売上高(百万円) | 経常利益(百万円) | 経常利益率 | コンサルタント数 |
日本M&Aセンター | 11,975 | 150 | 79.83 | 5567 | 46.50% | 625 |
M&Aキャピタルパートナーズ | 3,156 | 41 | 76.98 | 592 | 18.76% | 149 |
ストライク | 3,676 | 54 | 68.07 | 1344 | 36.56% | 200 |
M&A総合研究所 | 4,892 | 66 | 74.12 | 3352 | 68.52% | 200 |
※センターは成約件数を2で割って計算(売買別カウントのため) |
四半期の売上高は業界2番手に
四半期での売上高ではありますが、遂に「M&Aキャピタルパートナーズ」「ストライク」を抜いて業界2番手の位置にたどり着いています。数年後には業界のリーディングカンパニーである「日本M&Aセンター」に追いつく勢いとなっています。既に採用している人数が今期のうちに戦力化した際には、通期で業界2番手になっているかもしれません。
経常利益率は圧倒的な高水準
競合3社が50%以下の経常利益率である中、68%以上という断トツの高水準となっています。安定した財務基盤を保持し、昨年はM&A仲介関連会社2社とコンサルティング会社1社を設立しています。
メイン事業で高い利益を確保しつつ、事業の多角化を進めることで業界でも強固な地位を築いていくことが予想されます。
コンサルタント数も今期で業界2番手に
M&A仲介業界において、コンサルタント数が100名を超えている企業は5社しかないと言われています。(上記4社+「fundbook」)優秀なコンサルタント数をどれだけ採用できるかが、非常に重要な指標となっています。こちらが業界2番手になるということは、今後も安定した売上高を維持できることが予想できます。
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