M&A業界の面接準備:志望動機の作成方法
この記事は、M&A仲介会社への転職に向けて情報を収集している方、M&A仲介会社に応募しようと考えているが志望理由をどのように書けば良いか迷っている方に向けて、受かる志望動機について情報をまとめています。
中途採用における転職者向けの内容になってはいますが、新卒でM&A業界を目指す学生にもわかるような内容になっていますので最後までお読みいただけると幸いです。
これまでM&A仲介会社へ数々の紹介実績のある筆者が、今までの候補者の志望理由を例にして解説いたします!
目次
M&A業界が求める人物像
まずは、M&A業界が求める人物像について理解し、志望動機や自己PRにてどうやってアピールしていくのかを考えていきます。
M&A仲介会社の各社が求める人物像として以下が挙げられます。
- 責任感・誠実さ
- 精神的・身体的なタフさ
- 上昇志向
- 論理的な思考力
志望動機を深堀された際には、上記の人物像にマッチした人材でなければ内定獲得は難しいでしょう。
責任感・誠実さ
M&Aコンサルタントにおいて、責任感や誠実さといったものは非常に重要になってきます。経営者という百戦錬磨の方々から、これまで一生をかけて育て上げてきた会社を任せて貰うという信頼を獲得するには誠実さが必要です。
そして、そのディールを最後までやり抜くという強い責任感を持っていなければM&Aコンサルタントという仕事を遂行することは出来ないでしょう。
あなたがこれまでの仕事で、どれほどの責任感を感じながら仕事をしてきたのか、誠実に仕事をしてきたのかをしっかりとアピールする必要があります。
精神的・身体的なタフさ
M&A仲介の仕事は半年から1年以上の長い期間のディールを経て、ようやく成約に結びつきます。
ソーシングの段階では、終わりの見えない案件探しを続けなければいけません。そして、案件が佳境に入ったら作業時間が長くなり、深夜まで会社にいるケースもあります。更に、売手や買手企業からは無茶な要求をされることも少なくありません。
そういった中で常に高いパフォーマンスを発揮し続けるための精神的、身体的なタフさを必要としている業界です。
上昇志向
M&Aコンサルタントは常に新しい情報を収集し、自分自身をアップデートし続ける必要があります。
財務・労務・法務だけでなく、経済やビジネス情報、さらに業界の知識などをキャッチし続ける人が信頼を獲得することができます。
そして、この業界では『稼ぎたい』『成長したい』という意志の強い人ほど大きな成果を出す傾向にあります。
例えば、年収1,000万円を目指すM&Aコンサルタントについてですが、一般的な感覚で言うと十分稼いでいるように感じますが、平均年収が1,000万円を超えているM&Aコンサルタントとしては平均以下となっています。
年収1億円を目指して上昇し続ける人を採用するほうが、企業としても採用コスト含めてメリットがあるのです。
論理的な思考力
M&Aアドバイザリー業務は、売手の経営者や買手の大手企業経営企画などを相手に営業活動を行なうため、非常に論理的な提案が求められます。感情面だけのアプローチで信頼を獲得できるほど、甘い相手ではありません。
それを面接ではかるため、転職理由・M&A業界を選ぶ理由・その企業を選ぶ理由を一貫して論理的に説明する必要があります。
志望動機作成の5ステップ

それでは、M&A業界で求められる人物をご説明しましたのでここからは実際に志望動機の作り方についてご説明していきます。
次の5つのステップに沿って作成していけば、論理的な志望動機が作成できるでしょう。
①転職理由・転職活動の軸を明確にする |
②なぜM&A業界なのか?を明確にする |
③なぜその会社なのか?を明確にする |
④他の業界・他の企業ではダメなのか?に答えられるようになる |
⑤模擬面接を通して、論理の矛盾をなくす |
1つずつ説明していきます。
①転職理由・転職活動の軸を明確にする
意外と、この部分がおろそかになっているケースが多くございます。
まず、今回転職を考えるに至ったきっかけを考えます。例えば『これ以上稼げないと感じたから』『社内でTopになったから、次のステップを考えたいと思ったから』などです。ここは現状の不満が出てくることでしょう。
次に、それは現職では改善できないのか?を考えてみましょう。現職ではどうしても解決できないため、転職するしかない理由を明確にしましょう。
そして、現状抱えている不満の中で必ず解消したいことを考えます。それが今回の転職活動の軸となります。この時点で『別に今のままでもよいのだけれど。。。』と思ってしまった際には、転職を思い直すことをお勧めします。
転職は必ず成功するとは限りません。現時点でも十分な働き方ができているのであれば、もう数年頑張ってみると良いでしょう。
特にM&A仲介業界は成果が出るまで非常に時間のかかる業界です。1年以上成果が出なかったときに、「前の仕事でよかったのに」と思ってしまっては後の祭りです。
②なぜM&A業界なのか?を明確にする
転職の軸が明確になった際に、その軸においてM&A業界はどういった解決策となりうるのかを考えましょう。
たまに誤ったM&A業界の志望理由として、M&Aの興味を持った部分だけを伝える人がいらっしゃいます。例えば、「祖父が経営者で後継者がいなくて廃業してしまって。。。」といった理由などですが、それは志望理由ではありません。
自分のこれまでの人生において、数多くの課題を目撃したはずです。入院であったり、介護の心配であったり、色々な課題がある中でなぜ後継者不足だけ自分事として転職する必要があるのでしょうか?と面接官は考えるのです。
必ず、転職の軸に対してM&A業界はどう当てはまっているのかという志望理由を作成しましょう。
身近な経験を伝える際には、「M&Aに興味を持ったきっかけ」として説明すればよいです。
③なぜその会社なのか?明確にする
そして最後に、M&A仲介会社の中でも選考に進む企業をどうして選んだのかを明確にしなければいけません。
こちらも先ほどと同様に、興味を持った理由だけを伝える人がいらっしゃいます。例えば、「業務効率化で営業活動に集中できる」といったなど理由です。
これまでの人生で、業務効率化を重要視して会社選びをしてきましたか?
ほかにも選ぶ方法はたくさんある中でそれを重要視する理由はありますか?
といった質問が来るでしょう。
もちろんその理由自体が間違っているというわけではありません。
面接官からの質問に適切に回答するには、
①転職の軸や転職理由に合わせて回答を作成する
②これまでの経験から、重要視したいことから考える
この2パターンをお勧めします。
◼︎徹底的な企業研究により各社の特徴を捉える
まず、やらなければいけないことは企業研究です。各社の特徴を捉えなければ、なぜその企業を選択したのかを論理的に説明することは不可能です。
企業研究のための情報収集は下記をお勧めしています。
- 各社が出版している書籍
- Youtube
- 上場企業のIR資料
- SNSからの情報収集(鵜呑みにしてはNG)
- 我々業界特化エージェントによる実際の情報
- 内部にいるM&Aアドバイザーの実際の声
◼︎転職の軸を達成するために最も適した企業であるという理由を作る
例えば、転職の軸が1億円を稼ぐことができる環境であったとします。
その際には、既に1億円を稼いでいるプレイヤーがいる会社でしか達成は難しいでしょう。
そして、その会社がどうして1億円プレイヤーを輩出しているのかを理解しておくことで、説得力のある志望動機を話すことができる様になります。
◼︎これまでの経験から重要視したいことから考える
例えば、他の人よりも1件目の営業成績を出すのに時間がかかった経験があるとします。
1件目を成約した後は、全体像が分かり営業成績が急激に伸びたため、M&A仲介業界においても1件目の成約がどれだけ早くできるのかを重要視することになるでしょう。
そのため、業界特化でノウハウがある会社や案件規模が小さくても数を多く扱える企業などは志望理由を説明しやすいでしょう。
④他の業界・他の企業ではダメなのか?に答えられるようになる
採用面接では、「他に受けている業界・企業は?」といった質問が必ずと言っていいほど聞かれます。厳しい面接官だと、「その就活の軸だと●●の業界でもいいんじゃない?」といった質問も飛び出します。
これらの質問に答えるためには、想定できる業界・企業の理解や比較をしておく必要があります。
業界理解はエージェントや本・Youtubeなどの情報を活用!
業界特有の知識や動向を理解するためには、エージェントや専門書、YouTubeなどのリソースを活用しましょう。
特に、エージェントからの最新情報や専門書での深い理解は、M&A業界への転職を目指す際に役立ちます。また、YouTubeでは業界のプロフェッショナルが具体例を交えた説明を提供しており、視覚的に理解が進むでしょう。
これらのリソースを効果的に使って、面接準備や志望動機の作成、自己PRに具体性と説得力を持たせましょう。最新の情報を収集することで、相手にしっかりとした理解を伝えることが可能になります。
⑤模擬面接を通して論理の矛盾をなくす
模擬面接を実施することで、志望動機や回答の論理的な矛盾を把握できます。転職エージェントのサポートを活用することで、実際の面接に近い環境を作り出せます。
複数回の模擬面接を繰り返すことにより、回答が一貫し、M&A業界にふさわしい志望動機を構築できます。
こうした準備を通じて、自信を持って面接に臨むことができるようになります。
志望動機の例文集
M&A業界への転職を目指す方にとって、面接で問われる志望動機は非常に重要です。そこで、具体的で説得力のある志望動機の例文を以下に紹介します。
この例文を参考にすることで、自身の強みやM&A業界への熱意を効果的に伝える志望動機を作成する手助けとなります。
しかし、これはあくまで例文ですのでこのまま使うことはお勧めしません。それぞれに合った転職軸や志望理由を必ず考えましょう。
想定候補者

MA業界の志望動機を考えるに当たって、まずは候補者の前提条件を設定します。
○28歳
○男性
○現職:メガバンクにおいて法人営業に従事
転職を考えたきっかけ・転職軸
◼︎転職を考えたきっかけ
- 現職において、成果を残しても給料に反映されない
- このまま勤めていても年収1,000万円が上限
- 年次によって対応できる案件の規模やお客様の規模が異なる
- 同期が転職して年収を上げている姿を見て、自分も転職するタイミングでは?と考えた
◼︎M&Aを知ったきっかけ
- 現職で、中小企業のオーナーから後継者不在の相談を受けたが社内の専門部隊にトスアップするだけとなった
◼︎転職活動の軸
- これまでの法人営業経験や金融知識などを更に活かせる職種
- 成果や実績によって給料が変わる・実力主義
- 転職した同期が2年目で1,500万円稼いでいるので、それ以上に稼げる環境
M&A業界の志望理由
そして、M&A業界が軸にどれぐらいあっているのかといった説明ができるように準備します。
軸その1:
これまでの法人営業経験や金融知識などを更に活かせる職種
▼
【志望理由】
- 銀行員時代に正対してきたオーナー経営者や財務担当に対して、直接的な課題解決のアプローチが可能になる
- トスアップして対応できなかったM&A事例に対して直接関わることができる
軸その2:
成果や実績によって給料が変わる・実力主義
▼
【志望理由】
- インセンティブ設計があり、頑張りが直接給与に反映されやすい
- 年次による行動制限がなく、実力主義な業界文化がある
軸その3:
転職した同期が2年目で1,500万円稼いでいるので、それ以上に稼げる環境
▼
【志望理由】
- M&Aコンサルタントの2年目以降の平均年収は2,000万円を超えている企業が多く、結果を出せば元同期に追いつくことができる
日本M&Aセンターの志望動機

次に業界最大手である日本M&Aセンターの志望動機について考えていきます。
- メガバンクという大手企業で営業をしてきて、企業オーナーや経営層にとって会社の看板が非常に重要視しているということが身に染みて理解している
- 未経験で新たな業界に挑戦するため、少しでも活躍できる可能性を上げたいと考えている
といった理由などが考えられます。
日本M&Aセンターについて詳しく知りたい方はインタビュー記事をチェック▼
M&A総合研究所の志望動機

次に人気急上昇中のM&A総合研究所の志望動機について考えていきます。
- 成果や実績によって給料が変わる・実力主義
→明確な実力主義な環境が整っていると考えたから。売り案件を獲得してきたアドバイザーが全てのインセンティブの権利を得ると公言しているように、完全な成果主義を謡っているため
- 転職した同期が2年目で1,500万円稼いでいるので、それ以上に稼げる環境
→2年目以降のM&Aアドバイザーの平均年収が1,700万円とHPに載っており、3年目以降では3,000万円近くだと聞いているため、軸を達成する可能性が高いと考えている。
日本M&Aセンターについて詳しく知りたい方は関連記事をチェック▼
会社の志望動機は唯一でなくてOK

転職活動は恐らく1社ずつではなく、数社同時に受けるでしょう。また、お見送りになったら次の企業を受ける必要があるため、現在選考中の企業だけが志望している企業であるはずがありません。
そのため、作成した志望理由が別の会社でも当てはまってしまうケースは充分にあり得ます。その時には、最終的な決め手をしっかり考えておきましょう。例えば、「社長と面接させていただき、その中で一番ついていきたいと思った方を感覚で選びます。」などです。
面接において大切なのは嘘をつかないことです。
M&A業界の現状と採用動向

M&A業界は、経済の変動や企業の戦略に影響を受けやすいですが、その分やりがいとチャンスに満ちた分野です。
現在のM&A業界は、クロスボーダーM&Aやデジタルトランスフォーメーション・成長戦略のM&Aといった新たなトレンドが注目されています。
業界の現状と将来性
M&A仲介業界ではこれまで、事業承継のM&Aの需要の高まりと共に市場拡大をしてきました。団塊世代の経営者引退に対して、後継者が育っていない点が問題となり、これまで事業承継としてのM&Aが増加傾向でした。
団塊世代の引退も落ち着き始め、今後は成長戦略としてM&Aを活用する買手企業やイグジットとしてM&Aを活用するスタートアップ企業が増えてくる考えられています。日本のM&Aの件数は欧米と比較しても半分以下であり、今後は成長戦略のM&Aが活発になってくると予想されています。
そのため、今後はオーナー営業力だけでなく事業戦略を考えられるような力のあるM&Aコンサルタントの需要が高まっていくでしょう。
M&A仲介業界へのサポート体制 No,1
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