M&A仲介業界は、転職市場のなかでも特に高年収を狙いやすい領域として注目されています。
実際、主要各社の採用ページを見ると、固定給に加えて高いインセンティブが設定されており、成果次第で20代・30代でも年収1,000万円超、会社によっては2,000万円超を狙える設計になっています。
一方で、公開されている数値は「全社員平均」ではなく「在籍1年以上のコンサル平均」や「初年度想定年収」であることも多く、表面上の数字だけで比較するとミスリードが起きやすいのも事実です。
そこで本記事では、2026年5月時点で確認できる最新の公式採用ページ・会社概要ページをベースに、主要M&A仲介会社の年収水準、報酬制度、向いている人の特徴まで整理します。
目次
M&A業界の年収が高い背景
M&A業界が高年収になりやすい背景には、大きく3つの要因があります。
1つ目は、1件ごとの売上規模が大きく利益率も高い、収益性の高いビジネスモデルであること。
2つ目は、中小企業の後継者不足を背景に、事業承継の手段としてM&Aニーズが拡大していること。
3つ目は、成約実績に応じて報酬が大きく上乗せされる成果報酬型の給与体系が一般的であることです。
こうした要素が重なり、M&A業界では若手でも高年収を狙いやすい環境が生まれています。
これらの要因がどのように作用して高年収を実現しているのか、次の各見出しで詳しく解説します。
収益性の高いビジネスモデル
M&A仲介業界が高収益である主な理由の一つは、そのビジネスモデルにあります。
- 1件当たりの手数料単価が非常に高い
- 手数料ビジネスのため、原価が低い
M&A仲介は、企業の譲渡・買収という高額な取引を支援するビジネスであり、1件成約した際の手数料が非常に大きくなりやすいのが特徴です。売り手企業・買い手企業の双方に対して支援を行うケースも多く、少数の成約でも大きな売上を生みやすい構造になっています。
また、製造業のように原材料費や設備投資が大きくかかる業態ではなく、基本的には人材と営業活動が価値の源泉となる手数料ビジネスです。
そのため、案件の仕入れ原価がほとんど発生せず、売上の多くを人件費や広告宣伝費に振り向けてもなお、高い利益率を確保しやすいという特徴があります。
実際に、M&A仲介会社の中には高水準の給与を支払いながらも、高い営業利益率を維持している企業が少なくありません。
さらに、M&A仲介会社は比較的キャッシュフローを読みやすいビジネスでもあります。案件ごとの進捗管理が重要ではあるものの、成功報酬の発生タイミングや受注状況を一定程度見通しやすいため、収益計画を立てやすい面があります。こうした高単価・低原価・高利益率の構造が、M&Aアドバイザーの高年収を支える土台になっています。
企業の売買という最も高額なものを取り扱い、かつ売り手と買い手の双方から手数料をいただく形のため、この高単価が実現しています。
中小企業の後継者問題によるM&Aニーズの高まり
日本では少子高齢化の進行により、多くの中小企業が後継者不在という深刻な課題を抱えています。特に地方企業やオーナー企業では、親族内承継が難しくなっているケースも多く、事業を存続させるための選択肢としてM&Aが広く活用されるようになっています。
実際、事業承継の文脈でM&Aを支援する企業の多くが、後継者不足を大きな社会課題として掲げています。単なる会社売却ではなく、従業員の雇用維持や取引先との関係継続、技術やブランドの承継を実現する手段としてM&Aが定着しつつあることから、市場全体の需要は中長期的に伸びやすい状況です。
このように、社会課題そのものがM&A業界の追い風になっているため、案件数が増えやすく、業界全体の売上拡大につながっています。結果として、M&A仲介会社は人材採用にも積極的になり、高い報酬を提示して優秀な営業人材やコンサル人材を確保しようとする傾向が強まっています。
成果報酬体系の充実
M&A業界では、成果報酬型の給与体系が一般的です。
多くの会社で固定給は設定されているものの、それに加えて成約件数や売上実績に応じたインセンティブが支給される仕組みになっており、成果を出した人ほど年収が大きく伸びる構造です。たとえばストライクでは、コンサルタントの売上が基準を超えた場合、その超過分に対して20〜30%のインセンティブ料率が適用されると公表されています。
また、日本M&Aセンターでは、月給と賞与に加えて上限のないインセンティブ制度を採用しており、27歳・入社2年目で年収2,800万円、31歳・入社4年目で年収6,800万円というモデル例も紹介されています。M&Aキャピタルパートナーズでも、初年度保証年収に加えてKPIインセンティブ、M&A成約インセンティブ、決算賞与が設けられており、在籍1年超アドバイザーの平均年収は3,007万円と非常に高い水準です。
平均的なインセンティブ率は会社によって異なりますが、仮に20%前後の水準だとすると、成約に伴う売上や手数料が大きいM&A業界では、1件の成約だけでも年収に数百万円単位の上乗せが発生することがあります。
こうした報酬設計が、M&Aアドバイザーの高いモチベーションを生み、業界全体の高年収化にもつながっています。
【M&A業界上場大手3社】平均年収ランキング
M&A業界の中でも特に注目されるのが上場大手3社です。業界をリードするこの3社の平均年収は、日本の平均年収ランキングの常に上位に位置しています。
まずは上場大手4社の平均年収について解説します。
1位:M&Aキャピタルパートナーズ株式会社

年収 2,478万円
(全社員平均 ※バックオフィス含む)
堂々の1位は上場企業平均年収ランキングにおいて、9年連続で1位を取り続けているM&Aキャピタルパートナーズです。
この企業がランキング上位に位置する理由は『大型案件による高単価』と『1人当たりの生産性』が圧倒的である点です。2023年9月期の決算情報によると5件に1件以上は手数料1億円以上の大型案件となっています。株価レーマンによる手数料算出を行なっており、業界では手数料が低くなる手数料体系ですが、それでも大型案件が多くなっています。
コンサルタント1人当たりの売上高も1億5,860万円となっており、業界平均が7,000万円前後と考えると非常に高い生産性となっています。
そして、それを支えているのが『高い採用ハードル』と『アウトバウンド営業力』だと考えられます。各業界のトップセールスであることが採用条件であり、業界の中でも最高難易度の企業となっています。そのため、全員が結果を残せることで生産性の高い組織へと仕上がっています。
そして、アウトバウンド営業力に関しては、同様に大手3社と括られる『日本M&Aセンター』『ストライク』などはインバウンド案件も多いため、単価の低い案件も担当しています。そして、インバウンド案件は紹介料といった原価が10~15%ほど発生するため、収益性も下がってしまいます。これらの点から、アウトバウンド営業に長けたメンバーが集まっているからこその高単価案件が獲得できていると言えるでしょう。
◼︎圧倒的な年収実績
| 在籍1年超アドバイザー平均 | 4,537万円 |
| 在籍1年超アドバイザー中央値 | 2,425万円 |
| 全社員平均 ※バックオフィス含む | 2,478万円 |
【企業研究】当社についてさらに知りたい方はこちら
M&Aキャピタルパートナーズの魅力・強みを徹底解説▼
2位:株式会社ストライク

年収 1,493万円
(全社員平均 ※バックオフィス含む)
第2位は公認会計士が主体となって設立したストライクです。株式会社ストライクが公表している2023年度有価証券報告書によると平均給与が1,493万円にのぼることが分かります。
特徴は公認会計士が主体になって設立されたため、専門性の高いM&A仲介サービスを提供する点です。日本で初めてインターネットM&Aプラットフォーム「SMART」の運営を行ったことでも知られています。
提携先からの紹介案件が46%ということもあり、原価がかかってしまっているや案件規模の大きさが影響したことからM&Aキャピタルパートナーズとの差が生まれています。
3位:株式会社日本M&Aセンター

年収 1,114万円
(全社員平均 ※バックオフィス含む)
第3位は業界の雄こと日本M&Aセンターです!株式会社日本M&Aセンターホールディングスが公表している2023年度統合報告書によると平均給与が1,114万円にのぼることが分かります。
同社の特徴はM&A仲介会社の中でもトップクラスのネットワークを保有している点です。300を超える地域金融機関の他、900を超える会計事務所、1,700か所の仕業事務所と提携をしており、情報量でもナンバーワンと言えるでしょう。
また売り手(譲渡企業)と買い手(譲受企業)の担当者を社内で分ける分担制で最終契約までサポートすることでも知られています。タッチできる案件数はランキング3社の中で最も多いでしょう。
【取材記事】当社についてさらに知りたい方はこちら
日本M&Aセンター人材戦略部、中村様へ候補者が疑問に思っている事をインタビューしてきました▼
その他 M&A仲介会社平均年収
上場大手3社に続いて、高い平均年収を誇るその他のM&A仲介会社も存在します。これらの企業もそれぞれ独自の強みを持ち、充実した報酬体系やビジネスモデルで魅力的な転職先となっています。
株式会社M&A総合研究所

年収 2,815万円
(2年超のM&Aアドバイザー平均)
AI/DXによる業務効率化を武器として、圧倒的な成長を続けているM&A総合研究所です。毎年100%以上の成長率を誇り、あっという間に業界での存在感を増しています。
未経験入社の約70%が入社後1年以内に案件成約を実現しており、一年半の在籍で全てのアドバイザーが2件以上、そのうち8割が同期間内に3件の成約を達成しているようです。非常に成果の残しやすい環境が整っている企業です。
◼︎年収モデル
基本給420万円 + インセンティブ(売上の18~23%)
インセンティブがベース給与を上回った分から発生します。3件目以降は案件を獲得したアドバイザーがインセンティブの権利を持つため、上司との案分などに悩まされることはない成果主義で働くことが出来ます。
【直接取材】当社についてさらに知りたい方はこちら
M&A総合研究所 代表取締役CEO 佐上様に直接取材してきました▼
【内定者取材】当社内定者のリアルな声が知りたい方はこちら
新卒で急成長中のM&A仲介会社へ!その全貌をインタビューしてきました▼
株式会社fundbook

年収 2,500万円以上
(2年超のM&Aアドバイザー平均)
株式会社fundbookは、営業サポート体制が充実しており、M&Aを進める各フェーズごとにアドバイザー専門チームがサポートする体制を構築しています。
M&Aアドバイザーが効率的にディールを進められる体制が整っており、在籍1年以上のアドバイザーの平均年収は1,800万円を超え、在籍3年以上のアドバイザーの平均年収は2,500万円を超しています。(2023年3月期実績)
◼︎年収モデル
基本給500万円 + インセンティブ(売上の25%)
インセンティブがベース給与を上回った分から発生します。高水準のインセンティブ率に加え、2年目以降は達成したKPIやKGIによって基本給が上がります。
アドバイザーの基本給は最大1,200万円まで昇給するため、不安定な収入になりがちな業界の風土を払しょくする設計となっています。
【企業研究】当社についてさらに知りたい方はこちら
fundbookの魅力・強みを徹底解説▼
インテグループ株式会社

年収 2,791万円
(2年超M&Aコンサルタント平均)
2007年に設立した完全成功報酬制を掲げるM&A仲介会社です。
同業他社への転職者がこれまで0人という、働きやすい環境が整っているM&A仲介会社です。
2024年6月に上場し、ストックオプションの付与率も100%となっています。ソーシングから一気通貫で担当するため、インセンティブの配分も発生しません。
2024年5月期では34名となっており、非常に少数精鋭のM&A仲介会社です。
◼︎年収モデル
基本給360万円~ + インセンティブ(~40%以上)
- 基本給は前職を考慮した変動有
- 固定給を上回った分を賞与で支給
- 成約件数により%がアップ
- 上司等に配分をとられることはない
◼︎年収実績
| 全コンサルタント | 1,700万円 |
| 1年超在籍コンサルタント | 1,898万円 |
| 2年超在籍コンサルタント | 2,791万円 |
| 3年超在籍コンサルタント | 3,377万円 |
【直接取材】当社についてさらに知りたい方はこちら
M&A仲介業界のマッキンゼー!? インテグループの藤井社長へ直接インタビューしてきました▼
株式会社M&Aベストパートナーズ

業界特化かつ、営業に集中できる環境を提供することによって、業界最高水準の1人当たり売上高を達成しているM&A仲介会社です。
ダイレクトメールの発送や初期のテレアポなどは専属部署が行うため、本質業務に集中し、案件を効率的に対応できる環境となっています。
インセンティブも翌月一括支給となっており、初年度から高年収を狙うことが出来ます。
◼︎年収モデル
基本給360万円~ + インセンティブ(10〜40%)
- インセンティブは基本給に上乗せ支給
- インセンティブ率は累積成約数に応じて上昇
◼︎年収実績
| 1年目 | 800~900万円 (1件/年成約) |
| 2年目 | 2,000~6,000万円 (4-6件/年成約) |
M&Aロイヤルアドバイザリー株式会社

年収 2,400万円
(2年目以降のM&Aアドバイザー平均)
充実したバックオフィス体制と業界トップクラスのコンサルタントによる1on1のOJTによって、未経験の教育体制が非常に整っています。OJTによる教育がここまで充実したM&A仲介会社はございません。
◼︎年収モデル
基本給420万円 + インセンティブ
※インセンティブ率は非公表
株式会社ペアキャピタル

年収 1,643万円
(2年目以降のM&Aアドバイザー平均)
業界最速での上場を果たしたM&A仲介会社となっており、現在も急成長中です。
業界特化の営業体制と、役員が同行することによって未経験での活躍が期待できます。営業未経験や第二新卒で入社した人でも十分に活躍している実績がございます。
また、最高水準のインセンティブ率があり、圧倒的な年収を狙うことが可能です。
◼︎年収モデル
基本給420万円 + インセンティブ(30~50%)
- 年間売上によってインセンティブ率が上昇し、一度上がったインセンティブ率は下がらない
- 売上が3,000万円以上を超えた際にインセンティブが発生し、翌月支払い
※全M&Aアドバイザー平均年収:約1,142万円
上場企業を深く理解するには売上高ランキングも重要!
2024年7月現在、M&A仲介業界の売上高ランキングにおいて、上場企業がどのようなポジションを占めているのかが注目されています。
このランキングは、企業の規模や市場での影響力を理解する上で重要な指標です。中でも、売上高は企業の実力を測るうえで欠かせないデータとなります。
会社選びは給与設計ではなく『活躍できるか』で選ぶべき!
今回はM&A仲介会社の年収について解説しました。
M&A業界を目指す方の多くは年収アップを目的にされています。インセンティブの設計が各社それぞれ異なっておりますが、実際の平均年収にはさほど変わりはないことがお判りいただけたかと思います。
そのため、重要なのは『活躍できるのか』であると考えています。インセンティブ率が高くても、成約出来なければ全く意味がありません。
自分自身の経験をどこの会社だったら一番活かすことが出来るのかが一番大切なのではないでしょうか?
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