M&Aをするためには、さまざまな種類の税金がかかることを把握することが必要です。
株式を売却した場合にかかる所得税や住民税以外にも、法人税や贈与税などの税金が発生する可能性があります。
これらの税金を正確に把握し、事前に適切な税務プランを立てることで、M&Aの成功をサポートできます。
M&Aとは
M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業の合併や買収のことです。
複数の会社が1つになる合併やある会社が別の会社を買い取る買収のことを指します。
以前は企業がのっとられるイメージがあったM&Aですが、近年では成長戦略の手段として活用されることが一般的です。
企業はM&Aを通じて、市場での競争力強化や事業領域の拡大、
新たな技術や人材の取得、シナジー効果の追求などを目指すことがあります。
さらに、新たな事業分野への進出や国際展開のための足がかりとしてM&Aが活用されることもあります。
さらに、M&Aを通じて国際展開を進める企業も増えています。
外国企業との合併や買収によって、海外市場に進出する足がかりを得ることができます。
株式譲渡をする場合のM&A税金
M&A譲渡をする場合さまざまな税金について把握するようにしましょう。
また、個人株主と法人株主でもかかる税金や控除などが異なるため注意が必要です。
個人株主の場合、株式譲渡による所得税や住民税が課税されます。
ただし、所得税には譲渡所得控除や特別控除などがある場合があり、実際の課税額はこれらの控除を考慮することが必要です。
一方、法人株主の場合は法人税がかかります。
M&Aによる譲渡によって得た利益に対して法人税が課税されることになるのです。
個人
経営者(個人)が株式譲渡をした場合は次の税金を納める必要があります。
株式譲渡による所得税は、取得費用から譲渡価額を差し引いた譲渡所得として計算されます。
この際、譲渡所得の金額によって税率が異なるため、高額な譲渡所得を得た場合は税率が上昇するので注意が必要です。
また、住民税は譲渡所得に基づいて課税される地方税であり、居住地の税率に従って計算されます。
所得税と同様に、住民税も高額な譲渡所得の場合には納税額が増加します。
所得税 | 15% |
復興特別所得税 | 0.315% |
個人住民税 | 5% |
合計 | 20.315% |
譲渡所得は次の計算式となります。
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
クロージングをする日の翌年2月16日〜3月15日の間に確定申告をすることが必要です。
譲渡収入に対して5%を取得費用とすることができます。
また、相続によって株式を承継した場合、相続後の3年10ヶ月以内であれば、
相続税がかかった株式に関連する相続税の金額を所得税に加算することが可能です。
これにより、相続税分の控除が受けられる可能性があります。
法人
経営している会社において株式を持っている場合では、法人名義で株式を保有している状況です。
会社名義で株式を保有していることとなるため、株主は法人です。
法人株主の場合は株式譲渡所得は法人の他のビジネス収益や利益などと合算され法人税がかかります。
譲渡企業株式を譲渡企業に譲渡したり、配当金を受け取ったりした場合は一定額が非課税となり控除対象です。
分離課税である個人での株式譲渡と違い、法人は総合課税となります。
また、税率は約30%〜40%です。法人において株主譲渡にかかる税金は次の計算式となります。
(譲渡益+利益)×実効税率
また、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や役員の提供、資産の貸付などは消費税課税取引となるので注意が必要です。
取引によっては消費税が非課税となる場合があります。
例えば、特定の免税措置や軽減税率が適用される場合、取引に対して消費税が課税されない可能性があります。
また、一部のサービスや商品に対してはゼロ税率が適用されることもあります。
事業譲渡に必要な税金
M&Aにおいて企業ではなく事業のみを譲渡することが可能です。
事業譲渡は資産や負債の売買取引となるため法人税がかかるだけで、会社の株主には課税されません。
法人税や法人住民税、法人事業税は、事業を譲渡した場合に発生する利益に対してかかります。
税率は約30%〜40%です。
このほか、有形固定資産や無形固定資産、土地、売掛金などが事業の譲渡に含まれる場合消費税が発生します。
このほか、事業譲渡契約書に印紙税が必要です。印紙税は譲渡価格によって変動します。
もし、事業譲渡に不動産が資産として含まれていれば不動産取得税(税率4%)が発生します。
まとめ
近年企業の成長戦略の手段として活用されているM&Aですが税金が発生します。
個人と法人で大幅に税金が異なるため、それぞれの状況において把握することが重要です。
税金対策を適切に行いながらM&Aを進めることで、円滑な取引を実現し、企業価値の向上に繋げることができるでしょう。