You are currently viewing FASとは?仕事内容・年収・M&A仲介/FA/投資銀行との違いを徹底解説【2026年最新】

FASとは?仕事内容・年収・M&A仲介/FA/投資銀行との違いを徹底解説【2026年最新】

「FASとは何の略?」「FAやM&A仲介、投資銀行と何が違うの?」「年収は高い?激務でやめとけって本当?」——FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)は、会計・財務の専門性を武器にM&Aや事業再生を支援する花形の職種です。本記事では、M&A業界に特化した転職エージェント「キャリアラダー」が、FASの定義・仕事内容・年収・キャリア・選考対策・他職種との違いまで、これ一本でわかるよう網羅的に解説します。

FASとは

1. FASとは?まず結論と全体像

FASの定義──財務アドバイザリーを担う専門部門

FASとは Financial Advisory Service(s) の略で、会計・財務の高度な専門知識を使って、企業のM&Aや事業再生などの重要な意思決定を支援する専門サービス(およびそれを担う組織・部門) を指します。

ひと言でいえば「M&A・財務に特化したプロフェッショナル集団」です。公認会計士やファイナンスの専門家が、企業価値の算定(バリュエーション)、買収先の精査(デューデリジェンス)、買収後の統合(PMI)、不正調査(フォレンジック)などを担います。

FASの成り立ち──監査法人から生まれた専門部隊

FASの多くは、監査法人(会計監査を行う組織)を母体に発展してきました。会計監査で培った企業分析力を、M&Aや再生といった「企業のアクション(行動)」を支援する方向へ展開したのがFASです。そのため会計の専門性が土台にあり、公認会計士のキャリアパスとして定着しています。

「FAS」「FA」「FASサービス」──混同されやすい用語の整理

FAS関連の用語は混同されがちなので、最初に整理しておきましょう。

  • FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス):財務アドバイザリー全般を提供する組織・部門・サービスの総称
  • FA(ファイナンシャル・アドバイザー):M&Aで売り手・買い手の一方に付いて助言する役割(機能)
  • アドバイザリー業務:助言業務全般を指す広い言葉

つまり「FA」は役割、「FAS」はその役割を含む財務アドバイザリー全体を提供する組織、という関係です。FASはFA業務を中核としつつ、再生・フォレンジックなど幅広い財務サービスをカバーします。

30秒でわかるFAS早見表

項目内容
正式名称Financial Advisory Service(s)(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)
一言でいうと会計・財務の専門家によるM&A・事業再生支援サービス
主な業務M&Aアドバイザリー/DD/バリュエーション/PMI/フォレンジック/事業再生
代表的なプレイヤーBIG4系FAS(デロイト・PwC・EY・KPMG)/独立系・ブティック
多い出身・資格公認会計士・USCPA・銀行・証券・コンサル出身
年収目安500万円(アナリスト)〜2,000万円超(パートナー)
働き方プロジェクト型。繁忙期は多忙だが近年は改善傾向
向いている人数字・分析が得意で専門性を高めたい人

FASのビジネスモデルと提供価値

FASの収益は、クライアント企業から受け取るアドバイザリー報酬です。M&Aの成功報酬(レーマン方式)に加え、DDやバリュエーションといった個別業務ごとのフィー(稼働・成果に応じた報酬)が中心です。

提供価値は「専門性による意思決定の質の向上」。M&Aは一度の判断が会社の将来を左右します。財務・会計のプロが客観的に企業価値やリスクを分析することで、クライアントは安心して大きな投資判断を下せます。なおM&A仲介の年収が高い理由(レーマン方式の解説)もあわせてご覧ください。

なぜ今FASが注目されるのか

国内のM&A件数は、後継者不在による事業承継ニーズや大企業の事業ポートフォリオ再編を背景に増加が続いており、M&Aの実行を支えるFASの需要も拡大しています。会計士のキャリアの選択肢としても、監査法人の次のステップとしてFASを選ぶ人が増え、転職市場での人気が高まっています。

2. FASと「FA・M&A仲介・投資銀行(IBD)・コンサル」の違い

FASは似た職種と混同されがちです。ここを正確に理解できると、転職の軸が定まり、面接でも知識をアピールできます。

そもそもFA(M&AにおけるFA)とは?セルサイドとバイサイド

FA(ファイナンシャル・アドバイザー)とは、M&Aにおいて売り手・買い手のどちらか一方に付き、その依頼者の利益最大化のために助言・交渉する役割です。

  • セルサイドFA:売り手に付き、より良い条件での売却を支援
  • バイサイドFA:買い手に付き、適正価格での買収・リスク低減を支援

「FA」は役割・機能を指し、「FAS」はそのFA業務を提供する組織・サービスを指します。FASの中核業務のひとつがFA業務、という包含関係です。

FASとM&A仲介の違い(立場・報酬の違い)

最も混同されやすいのがM&A仲介との違いです。両者は「立場」が決定的に異なります。

観点M&A仲介FAS(FA)
立場売り手・買い手の中立(双方を仲介)売り手または買い手の一方に付く
主な対象中堅・中小企業の事業承継中堅〜大企業・上場企業のM&A
報酬の出どころ売り手・買い手の双方から依頼した一方から
重視されるスキル営業力・マッチング力財務分析・専門性
多い出身営業職(証券・銀行・無形商材)公認会計士・銀行・コンサル

M&A仲介は「相手を見つけてまとめる」営業色が強く、FASは「専門知識で一方を勝たせる」分析色が強い、と理解すると分かりやすいです。利益相反を避けるため、大型・上場案件ではFA(片側)方式が好まれます。

FASと投資銀行(IBD)の違い

投資銀行のIBD(インベストメント・バンキング部門)もM&A助言(FA業務)を行いますが、FASとは扱う領域が異なります。

観点投資銀行(IBD)FAS
中心業務大型M&AのFA+資金調達(株式・債券の引受)M&A実行支援・DD・バリュエーション・再生
案件規模超大型・クロスボーダー中心中堅〜大型まで幅広い
強みファイナンス・資本市場会計・財務デューデリジェンスの深さ
報酬非常に高いが激務高水準・比較的バランス改善傾向

IBDは資金調達まで含む「資本市場のプロ」、FASは「会計・財務デューデリジェンスのプロ」という違いがあります。

FASとコンサルティングファーム(戦略・総合)の違い

戦略・総合コンサルが「経営戦略全般」を扱うのに対し、FASは財務・M&Aに特化しています。近年はコンサルファームがFAS機能を持ち、FASが戦略・PMI領域に広がるなど、境界は曖昧になりつつあります。「M&Aコンサルタント」と呼ばれる職種は、このFASの業務領域とほぼ重なります。

FASとM&Aアドバイザリーの違い

「M&Aアドバイザリー」はFASが提供する業務のひとつ(=FA業務)です。FASはM&Aアドバイザリーに加えて、再生・フォレンジック・バリュエーションなど、より広い財務サービスを含む概念です。

【一覧表】役割・対象・報酬・働き方の違い

M&A仲介FA/FAS投資銀行(IBD)
立場中立(双方)一方の代理一方の代理
対象規模中小・中堅中堅〜大企業大企業・上場
報酬双方から成功報酬一方から(フィー+成功報酬)一方から(高額フィー+引受)
色合い営業財務・分析ファイナンス
働き方個人裁量・成果主義プロジェクト型多忙・高報酬

3. FASの主な仕事内容(業務領域を網羅)

FASの業務は「M&A関連」と「その周辺・再生」に大別されます。代表的な業務を見ていきましょう。

M&Aアドバイザリー業務(買収・売却支援)

クライアント(買い手または売り手)に付き、M&A戦略の立案、相手先の探索・交渉、契約・クロージングまでを支援するFA業務です。FASの花形業務といえます。ロングリスト/ショートリストの作成、ノンネーム提案、企業概要書(IM)の作成なども担います。

デューデリジェンス(DD/財務・税務・ビジネス)

買い手が対象企業を精査する買収監査です。FASは特に財務DDを得意とし、決算の正確性・簿外債務・収益性・運転資本などを精査して買収リスクを洗い出します。税務DD・ビジネスDDを担うこともあります(詳しくはデューデリジェンスとは何か)。成果物は「DDレポート」で、買収可否や価格交渉の根拠になります。

バリュエーション(企業価値評価)・財務モデリング

対象企業の企業価値を算定する業務です。DCF法・類似会社比較法・年買法などを用い、Excelで精緻な財務モデルを構築します。M&Aの価格交渉だけでなく、会計目的のPPA(取得原価配分)・減損テスト・株式価値算定(裁判・税務目的)など、専門性の高い評価業務も含みます。

PMI(買収後の経営統合支援)

M&A成約後に、組織・制度・システム・業務プロセスを統合し、狙ったシナジーを実現する支援です。「100日プラン」の策定など、成約後の早期統合が重視されます。「M&Aは成約後が本番」とも言われ、近年特に需要が高まっている領域です。

フォレンジック(不正調査)

企業の不正会計・横領・コンプライアンス違反を、会計・デジタルフォレンジックの専門技術で調査する業務です。第三者委員会対応、訴訟支援、再発防止コンサルティングも含みます。FASならではの専門領域で、有事に強いのが特徴です。

事業再生・ターンアラウンド支援

業績不振企業の財務状況の分析、再生計画の策定、金融機関との調整(バンクミーティング)を支援します。会社を立て直す、社会的意義の大きい仕事です。

事業承継・資本政策コンサルティング

オーナー企業の事業承継や、資本構成の最適化(資本政策)、ホールディングス化、株式の整理などを支援します。税理士法人・弁護士とも連携します。

経営戦略・経営高度化支援

財務の視点から、経営管理体制の構築・KPI設計・予実管理・経営の高度化を支援します。コンサル領域に近い業務です。

M&Aプロセス全体とFASの関わり

FASがM&Aのどの工程で活躍するかを、流れで押さえておきましょう。

工程主な作業FASの関与
①戦略立案M&A方針・候補選定FA・戦略支援
②マッチング相手探索・打診FA(特にIBD/仲介と連携)
③基本合意条件交渉・LOIFA
④デューデリジェンス買収監査財務/税務DD・バリュエーション
⑤最終契約SPA・価格確定FA・バリュエーション
⑥PMI経営統合PMI支援

4. FAS業界の全体像とBIG4

BIG4系FASとは(デロイト/PwC/EY/KPMG)

FAS業界の中心は、世界4大会計事務所(BIG4)系のFASファームです。

グループ主なFAS法人特徴の傾向
デロイトデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)国内最大級・案件量が豊富
PwCPwCアドバイザリークロスボーダー・ディール実行に強み
EYEYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)戦略〜実行の一気通貫
KPMGKPMG FASDD・バリュエーションの専門性

監査法人を母体に持ち、豊富な案件・教育体制・ブランド力が強みです。会計士のキャリアパスとして特に人気があります。

BIG4系以外のFAS(独立系・ブティック・証券系)

BIG4以外にも、多様なプレイヤーが存在します。

  • 独立系FASブティック:少数精鋭で特定領域(再生、バリュエーション等)に強い
  • 証券・銀行系のアドバイザリー:資金調達と一体の助言
  • コンサルファームのFAS部門:戦略×財務
  • M&A仲介会社のFA部門:中堅中小M&Aに強い

少数精鋭ファームは、若手のうちから幅広い業務に関われるのが魅力です。

監査法人・コンサルティングファームとの関係

FASは監査法人グループの一部門として始まったケースが多く、会計の専門性が土台にあります。一方、近年は戦略・PMIなどコンサルティング領域へ拡大し、コンサルファームとの境界が曖昧になっています。「会計の出自を持つコンサル」がFASの立ち位置といえます。

5. FASの年収は高い?ポジション別の報酬水準

FASは専門性が高く、年収水準も高めです。ただし役職・ファーム(外資/日系)によって大きく異なります。

役職別の年収レンジ(目安)

役職年収レンジの目安主な役割
アナリスト(若手)約500〜700万円分析・資料作成・モデリング
シニアアナリスト/コンサルタント約700〜1,000万円案件の中核実務
マネージャー約1,000〜1,500万円案件マネジメント・顧客折衝
シニアマネージャー/ディレクター約1,500〜2,000万円案件統括・営業
パートナー2,000万円〜(数千万円規模も)経営・案件獲得

外資系FASと日系FASの年収比較

一般に、外資系FASは日系よりも報酬水準が高めの傾向があります。実力・成果に応じて昇給スピードも速くなります。一方、日系は安定性や教育体制に強みがある場合があります。

賞与・インセンティブの仕組み

FASの年収は「基本給+賞与」が基本で、プロジェクトの稼働・評価に応じた賞与が大きなウェイトを占めます。成果を出すほど報酬が伸びる構造です。パートナーになると案件獲得(営業)が報酬に直結します。

年収を上げる方法・他職種との比較

年収を伸ばすには、役職を上げる・専門性(バリュエーション、再生など)を深める・外資系へ移る、といった選択肢があります。なお、M&A仲介はインセンティブ次第で青天井になりやすい一方、FASは安定的に高水準という違いがあります。営業色が強く青天井を狙うなら仲介、専門性で堅実に高年収を狙うならFAS、という整理ができます。

6. FASで働くには?必要なスキル・知識・資格

必要な知識(会計・財務・M&A)

FASの土台は会計・財務の知識です。財務三表の理解、企業価値評価の理論、M&Aプロセスの知識は必須レベルです。

求められるスキル(分析・モデリング・英語・対人)

  • 財務分析・Excelモデリング:バリュエーションやDDの中核スキル
  • 論理的思考力:複雑な情報を整理し示唆を出す力
  • 英語力:外資系・クロスボーダー案件では重要
  • コミュニケーション力:クライアント・専門家との折衝
  • 資料作成力(PowerPoint):提案・報告の質を左右

役立つ資格

資格評価ポイント
公認会計士FASで最も評価される。監査法人からの転職が王道
USCPA(米国公認会計士)会計+英語の証明。未経験転職でも有利
簿記(2級以上)会計知識の基礎の証明
TOEIC(高スコア)外資系・英語案件で有利
中小企業診断士・MBA経営・戦略領域で評価
証券アナリスト(CMA)財務・バリュエーションで評価

求められる人物像・向いている人

数字に強く、知的好奇心が高く、プレッシャーの中でも粘り強く成果を出せる人が向いています。チームでプロジェクトを推進する協調性も重要です。

未経験からFASに転職するには

未経験でも、会計士資格・銀行・証券での財務経験・コンサル経験があれば挑戦可能です。第二新卒や監査法人からの転職は王道ルート。実務に直結する資格(会計士・USCPA)の取得や、財務モデリング・バリュエーションの学習が有効です。

7. DD・バリュエーションの手法を詳しく

FASの中核スキルである「デューデリジェンス」と「バリュエーション」を、もう一歩踏み込んで解説します。面接でも問われやすい領域です。

デューデリジェンス(DD)の種類

DDの種類確認内容主な担い手
財務DD決算の正確性・簿外債務・収益性・運転資本FAS(会計士)
税務DD税務リスク・申告の適正性税理士・FAS
法務DD契約・訴訟・許認可・コンプラ弁護士
ビジネスDD事業性・市場・競争力戦略コンサル・FAS
人事・労務DD未払い残業・退職給付・キーマンFAS・社労士
IT・システムDDシステム資産・統合リスクIT専門

FASは特に財務DDを主戦場とし、「正常収益力(EBITDA)」「ネットデット」「運転資本」を分析して買収価格の妥当性を検証します。

バリュエーション(企業価値評価)の主な手法

アプローチ代表的手法考え方
インカム・アプローチDCF法将来キャッシュフローを現在価値に割引
マーケット・アプローチ類似会社比較法(マルチプル)/類似取引比較法上場類似企業・過去取引の倍率を適用
コスト・アプローチ純資産法/時価純資産法純資産をベースに評価
中小企業向け年買法(年倍法)時価純資産+営業利益×数年分

実務では複数手法を併用し、価格レンジを提示します。EV/EBITDA倍率はM&Aで最も使われる指標のひとつです。

8. FASに向いている人・向かない人

向いている人の共通点

  • 数字・分析が好きで、専門性を深めたい
  • 知的にハードな環境で成長したい
  • M&Aや企業財務に強い関心がある
  • チームでプロジェクトを進めるのが得意
  • 細部まで正確にやり切る責任感がある

向かない人の傾向

  • ルーティンワーク中心で安定だけを求める
  • 数字・財務に苦手意識が強い
  • 長時間の集中作業や繁忙期の負荷に耐えられない
  • 個人プレー志向でチームワークが苦手

自分がFASに合うか見極める方法

「会計・財務の勉強が苦にならないか」「論理的に物事を整理するのが好きか」「成長のための負荷を前向きに捉えられるか」を自問してみましょう。判断に迷う場合は、業界特化エージェントに相談するのが近道です。

9. FASは激務?「やめとけ」と言われる理由の真相

プロジェクト型の働き方と繁忙・閑散の差

FASは案件(プロジェクト)単位で動くため、DDやクロージング前は多忙になりやすい一方、案件の合間は比較的落ち着くなど、繁閑の差があります。複数案件が重なる時期は特に忙しくなります。

「やめとけ」と言われる3つの理由

  1. 激務のイメージ:繁忙期は長時間労働になりやすい
  2. 責任・プレッシャーの大きさ:扱う金額が大きくミスが許されない
  3. 高い専門性のキャッチアップ:常に学び続ける必要がある

働きやすさ改善の動き(リモート・裁量労働)

近年はリモートワークや裁量労働制の導入が進み、働き方は改善傾向にあります。「激務でやめとけ」は過去のイメージが強く、実態は職場・時期によります。BIG4系は労務管理がしっかりしている傾向です。

それでもFASで働くやりがい

企業の重大な意思決定に関わり、専門性が市場価値に直結し、報酬も高水準——「ハードだが圧倒的に成長できる」点が最大のやりがいです。

10. FASのキャリアパス・出口戦略

FAS内での昇進・昇格ルート

アナリスト → シニア/コンサルタント → マネージャー → シニアマネージャー/ディレクター → パートナー、と昇進します。実力主義で、成果次第でスピード昇進も可能です。

王道の入り方:監査法人 → FAS

公認会計士が監査法人で数年経験を積み、より企業のアクションに近いFASへ移るのが王道ルートです。会計の素地があるため、即戦力として評価されます。

FAS出身者の転職先(出口戦略)

FASで培った専門性は転職市場で非常に高く評価されます。代表的な出口は次の通りです。

FAS経験で身につく市場価値

財務分析・企業価値評価・M&A実務という「どこでも通用するスキル」が身につくため、キャリアの選択肢が大きく広がります。

11. 公認会計士・未経験からのFAS転職

公認会計士がFASに転職するには

監査法人での監査経験は、財務DDやバリュエーションに直結します。会計士がFASを目指す場合、監査で培った財務分析力に加え、モデリング・英語・提案力を補強すると評価が高まります。

未経験・第二新卒・異業種からのルート

  • 銀行・証券の法人営業・融資・審査の経験者:財務分析力を活かせる
  • 戦略・総合コンサル出身者:ビジネスDD・PMIで活躍
  • 事業会社の経理・財務・経営企画:実務知識を評価

未経験でも、USCPAや簿記の取得、財務モデリングの学習でポテンシャルを示せば、ポテンシャル採用の枠で挑戦できます。

30代・40代からの挑戦

専門性や英語力があれば30代以降の転職も可能です。年齢が上がるほど「即戦力性」が問われるため、これまでの経験をFAS業務にどう活かせるかの言語化が重要です。

12. FASの選考・面接対策

選考フロー

一般的に「書類選考 → 複数回面接(現場〜パートナー)→ 内定」という流れです。外資系ではケース面接やフェルミ推定、会計・財務の知識を問う質問が出ることもあります。

面接でよく問われること

  • 志望動機(なぜFASか/なぜこのファームか)
  • これまでの実務経験・実績
  • 会計・財務の基礎知識(バリュエーション、DDの理解)
  • 論理的思考力(ケース・フェルミ)
  • 英語力(外資系)

評価される志望動機の作り方

「年収が高いから」だけでは弱く、会計・財務の専門性を活かして企業の意思決定に貢献したいという軸を、自身の経験と結びつけて語ることが重要です。監査法人出身なら「監査の先にある、企業の成長支援に関わりたい」といったストーリーが効果的です。

13. 【依頼者目線】M&AでFASを活用するメリットと活用シーン

FASを活用するメリット

  • 専門家による客観的な企業価値評価でM&Aの失敗リスクを下げられる
  • DDで簿外債務などのリスクを事前に把握できる
  • 複雑な大型・クロスボーダー案件にも対応できる
  • 利益相反のない「一方の代理」として依頼者の利益を最大化できる

FAS活用がおすすめのケース

  • 一定規模以上のM&A(中堅〜大企業)
  • 上場企業が関わる案件
  • 専門的なDD・バリュエーションが必要な案件
  • 事業再生・フォレンジックが絡む案件

中小企業の事業承継などは仲介、規模が大きく専門性が必要な案件はFA/FAS、という使い分けが一般的です。

14. 【転職者向け】M&A仲介・FA・FASのどれを選ぶ?

転職先として「M&A仲介」「FA」「FAS」のどれが合うかは、あなたの志向で変わります。

M&A仲介で働く魅力

営業力を活かしてインセンティブで青天井に稼げる。未経験・営業出身から挑戦しやすく、経営者と直接向き合えます(営業からM&A仲介への転職ガイド)。

FAで働く魅力

一方の当事者に深くコミットし、大型案件でファイナンスの最前線に立てます。

FASで働く魅力

会計・財務の専門性を武器に、安定的に高年収を狙えます。市場価値の高いスキルが身につき、キャリアの選択肢が広い。

タイプ別・あなたに合うのはどれか

タイプおすすめ
営業で青天井に稼ぎたいM&A仲介
大型案件・ファイナンス志向投資銀行・FA
会計・財務の専門性で勝負したいFAS
安定的に高年収・市場価値を高めたいFAS

15. FAS業界の動向と将来性

M&A市場の拡大が追い風

後継者不在による事業承継、大企業の事業ポートフォリオ再編(カーブアウト)、スタートアップのイグジットなど、M&Aの裾野は広がり続けています。これに伴い、DD・バリュエーション・PMIを担うFASの需要も拡大しています。

PMI・再生など「実行支援」の重要性が増す

M&Aの件数増加に伴い「成約後にシナジーを出せるか(PMI)」「不振企業を立て直せるか(再生)」といった実行支援の価値が高まっています。FASの活躍領域は今後さらに広がる見込みです。

AI時代でも残るFASの価値

資料作成やデータ集計はAI・テクノロジーで効率化が進む一方、専門的な判断・交渉・経営者への提案は人にしかできない領域として残ります。高度な専門性を持つFAS人材の価値はむしろ高まると考えられます。

16. FAS・M&Aでよく使う用語集

面接準備や実務で役立つ基礎用語をまとめました。

用語意味
FA売り手・買い手の一方に付くM&A助言者
DD(デューデリジェンス)買収前の対象企業の精査(買収監査)
バリュエーション企業価値の算定
PMI買収後の経営統合
フォレンジック会計不正などの調査
EBITDA利払前・税引前・償却前利益。収益力の指標
EV企業価値(Enterprise Value)
DCF法将来CFを割り引いて評価する手法
マルチプルEV/EBITDA等の倍率による評価
IM企業概要書(売り手の詳細資料)
NDA秘密保持契約
LOI/基本合意主要条件の大筋合意
SPA株式譲渡契約
レーマン方式取引金額に応じ料率が下がる成功報酬方式

17. よくある質問(FAQ)

FASに学歴フィルターはある?

BIG4系FASは人気が高く応募者も多いですが、会計士資格や実務経験があれば学歴を問わず評価されます。実力主義の側面が強い業界です。

FASの面接では何が問われる?

会計・財務の知識、志望動機(なぜFASか)、論理的思考力、これまでの実績などが問われます。外資系ではケース面接や財務に関する質問が出ることもあります。

FASに将来性はある?

M&A市場の拡大・事業承継ニーズ・PMI需要の高まりを背景に、FASの将来性は高いと考えられます。AIで定型業務が効率化されても、判断・交渉を担う専門家の価値は残ります。

未経験・第二新卒でもFASになれる?

可能です。会計士・USCPA・銀行・証券の財務経験などがあれば、未経験・第二新卒でも挑戦できます。ポテンシャル採用を行うファームもあります。

FASとM&A仲介、年収が高いのはどっち?

トップ層の「青天井」ではM&A仲介が上回ることがありますが、FASは役職に応じて安定的に高水準です。「ハイリスク・ハイリターンの仲介」か「安定的に高年収のFAS」か、という違いです。

公認会計士はFASとM&A仲介どちらが向いている?

会計の専門性を活かすならFAS、営業力で大きく稼ぎたいなら仲介が向きます。会計士は専門性を活かせるFASを選ぶ人が多いとされますが、近年は高年収を求めて仲介を選ぶ会計士もいます。

あわせて読みたい関連記事

18. まとめ──FASはこんな人に向いている

FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)は、会計・財務の専門性でM&Aや事業再生を支える、市場価値の高い職種です。

  • 数字・分析が好きで、専門性を武器にしたい
  • 安定的に高年収を狙い、将来のキャリアの選択肢を広げたい
  • ハードでも成長できる環境に身を置きたい

——こうした方にはFASが有力な選択肢です。一方、営業で青天井に稼ぎたいならM&A仲介、ファイナンスの最前線なら投資銀行が向きます。自分の志向に合った道を選ぶことが、転職成功の第一歩です。

19. Career LadderのM&A・FAS転職サポート

キャリアラダーはM&A業界に特化した転職エージェントです。M&A仲介・FA・FASそれぞれの違いや選考傾向を熟知し、あなたの経験・志向に合った企業選びから選考対策までを無料でサポートします。「FASとM&A仲介で迷っている」「自分に合う道を知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。

20. 参考・出典

※本記事は、FAS各社(BIG4系FAS等)の公開情報、M&A・会計分野の各種解説、転職市場の年収データ等をもとに、M&A特化エージェントCareer Ladderが編集・作成しています。年収・働き方等は時点・企業により異なります。最新情報は各社採用情報でご確認ください。