本記事ではM&A業界の今後について、業界経験者の視点で解説をしております。結論、M&A業界は後継者不在問題の顕在化に伴って拡大基調となるでしょう。これは皆さんもよく耳にする言葉だと思います。一方で、ネガティブ要素はどうでしょうか。M&A仲介業界にフォーカスすると、成功報酬のダンピングや金融引き締めによる投資減などが挙げられますね。詳しい内容については、本記事をご覧ください。
目次
M&A仲介業界とは?
そもそもM&A(エムアンドエー)とはMerger(合併)and Acquisitions(買収)の略で、「会社もしくは経営権の取得」を意味します。上記M&Aの仲介を行うため、具体的には会社を売却、買収する両者の間に立ち、その取引を円滑に行えるようにアドバイスを行うことが主な業務内容となっております。業界としては少子高齢化を背景とした後継者不在によって、黒字にも関わらず廃業を選択する経営者も多く、その解決手段としてのM&Aが大きく注目を集めています。中小企業の出口戦略を考えた際に考えられる方法は以下5つしかなく、株主としての利潤を獲得でき、他社と連携して事業を拡大できるM&Aは有効な出口戦略として活用されています。
1.親族内での承継
2.役員社員への承継
3.M&A(第三者への承継)
4.上場
5.廃業
今後のM&A業界は、後継者不在問題の顕在化に伴って拡大基調
帝国データバンク全国企業の「後継者不在率」動向調査(2020年)によると、後継者不在企業の割合は、65.1%であり、引き続き後継者不在の状況は続いています。また、経営者の平均年齢は62歳(東京商工リサーチ『全国社長の年齢調査』より)となっており、年々高齢化が進んでいます。
この状況はこれからも続くことが想定され、M&A市場はこれからも成長基調です。
M&A業界の拡大は、後継者不在問題だけが理由ではない
過去10年間で、M&A業界は急速に拡大をしてきました。大きな理由としては、やはり後継者不在問題の顕在化が挙げられますが、M&A件数の増加によって、若年層や若手経営者にもM&Aという経営手法が広がったことも理由として挙げられます。
また、子会社の売却や部門の売却は、大手企業だけが行う経営手法でしたが、中小企業にもそれが広がり、現在では極めて一般的なもののなりました。
大手M&A仲介会社によると、成約案件のうち約60%が後継者不在問題による譲渡案件ですが、残りは若い経営者や子会社の売却という後継者不在以外の理由です。
M&A業界を取り巻くネガティブ要素とは?
M&A業界でも、全くネガティブな話が無いかといえばそうではありません。M&A業界の成長の足を引っ張る要素は次の3つが挙げられると考えています。
M&A仲介会社の増加による成功報酬のダンピング
多くの会社でM&A仲介業務を行えば、価格が下がる可能性があるのは容易に想像できると思います。また、M&Aが一般的になることで、直接交渉をする会社も増加すると想像されるため、仲介会社を介さない形でのM&Aも増加すると思います。
しかし、金額の高い・安いでM&A仲介会社を選ぶわけでは無いため、M&A仲介会社の価格のダンピングは比較的起こりにくいだろうと言われています。
金融の引き締めによる譲受企業の投資控え
長い間金融緩和が進み、1%を切るような利息が当たり前になりました。すでにアメリカでは金融の引き締めがおこていますが、いずれ日本にも同じような流れが起きてくることは容易に想像でき、そうすれば金融調達コストが上がり、M&A投資がしにくくなります。
買い手企業がM&Aに消極的になる
M&Aは、ハイリスクハイリターンの投資であると言われています。投資といえば、不動産や証券が有名ですが、いずれも実態があるもので価値がいきなり0になるようなことは考えにくい性質のものです。しかし、M&Aは会社に投資をするため、人と資本の塊にお金を払うのです。つまりは、人が辞めてしまえば、その会社は運営ができないため、すぐに価値が0になってしまいます。
また、M&Aは経済危機に弱いことが知られています。調剤薬局の大手の一社であったさくら薬局グループ(会社名:クラフト株式会社)は積極的にM&Aを活用して事業拡大を進めていましたが、コロナウイルスの影響で事業環境が悪化し、資金繰りの悪化により2022年2月28日に事業再生ADRを申請しました。M&Aの株価と返済計画は事業環境に大きな変化がないことを前提に決められるため、コロナウイルスのような経済危機が起きると、M&Aで成長した会社は資金繰りに窮する可能性があることを、露呈させました。
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