「M&A仲介に新卒で入るのはやめとけ」という声をよく耳にする。ネットを検索すれば「激務」「クビ」「ブラック」「キャリアが終わる」といった刺激的なワードが飛び交っている。
しかし、実際はどうなのか。M&A仲介業界を目指す新卒学生にとって、これらの情報は本当に正しいのか、それとも過剰に誇張されたものなのか——本記事では、「やめとけ」と言われる理由を正面から検証し、M&A仲介業界の実態・メリット・向いている人・向いていない人を徹底的に整理する。
結論を先に言えば、「M&A仲介はすべての人にやめとけ」とは言えない。一方で、「向いていない人が入ると本当につらい」のも事実だ。正しい情報をもとに自分に合った判断ができるよう、本記事を参考にしてほしい。
M&A仲介業界全体の概要については【27/28卒】M&A新卒完全ガイドでまとめているので、合わせて読むと理解が深まる。
目次
「M&A新卒やめとけ」と言われる主な理由
激務で離職率が高いと言われている
M&A仲介業界が「やめとけ」と言われる最大の理由は、間違いなく激務だ。M&Aアドバイザーは、売り手企業のオーナーに対して自社のサービスを提案し、案件を受注する「仕入れ」から、買い手とのマッチング、条件交渉、クロージングまでをほぼ一人でこなす。
一件の成約には数ヶ月から長ければ1年以上かかることもある。その間、並行して複数の案件を抱えながら、新規のソーシング(案件発掘)も継続しなければならない。平日深夜まで経営者と電話し、週末に資料作成をこなすというのは珍しい話ではない。
M&A営業のきつさとやりがいでも詳しく解説しているが、精神的・体力的に要求されるレベルは、一般的な新卒の就職先と比べてかなり高い。またM&A業界の残業・ワークライフバランスのデータを見ても、M&A仲介会社は残業時間が多い傾向にある。「激務」という評判はある意味、的を射ている。
数字が出なければクビになる可能性がある
M&A仲介は完全な成果主義の世界だ。成約が取れなければ収入が上がらないどころか、最終的には「会社に居づらくなる」「降格・退職勧奨につながる」というリスクもある。
特に新卒1〜3年目は、成約件数がゼロの月が続くことも少なくない。大型案件を追いかけながらも、一切収益が生まれない期間が半年・1年と続くことで、精神的に追い詰められるケースがある。「クビになるかもしれない」という恐怖感が常に付きまとうのが、この業界のリアルだ。
日本M&Aセンターの勤続年数・離職率でも触れているが、業界全体として離職率は低くない。新卒入社3年以内に辞めるケースも相当数存在する。トップ企業・日本M&Aセンターも直面する「入社3年未満の壁」では業界共通の課題として早期離職の問題を詳しく解説している。
毎年ノルマに追われ続ける精神的プレッシャー
M&A仲介会社では、年間ノルマ(目標件数・目標収益)が設定される。昨年がどれだけ好成績であっても、年が変わればゼロリセット。毎年、一から積み上げ直さなければならない。
「辞めたい理由3選」としてよく挙げられるのが、「仕事がキツい」「数字が出ない時期のプレッシャー」「毎年ノルマに追われる精神的消耗」だ。特に成果主義に慣れていない新卒学生は、入社後にこのリアリティに打ちのめされるケースが多い。
M&A仲介を辞めたい・後悔する理由では、実際に業界を経験した人たちの声をもとに、退職理由の実態を詳しく解説している。
「M&Aバブル」「営業バブル」が崩壊するリスク
ここ数年のM&A仲介市場は、日本の中小企業における後継者不足・事業承継問題を背景に急速に拡大してきた。しかし、「今の好況はバブルではないか」「飽和した市場で新卒に仕事はあるのか」という懸念の声もある。
最新の業界動向は【2026年5月最新】M&A仲介・大手4社の決算比較で企業研究を!で詳しくまとめているので参考にしてほしい。市場環境と各社の経営状況を把握した上で就活の判断をすることが重要だ。
実態を検証|本当にブラック企業なのか?
激務の背景:中途レベルを新卒に求める業界
M&A仲介業界が「激務」なのは否定できない。しかし重要なのは、なぜそれほど高いレベルを求められるのかを理解することだ。
端的に言えば、M&A仲介会社は新卒に中途レベルを求めている。売り手である中小企業の経営者は、40〜60代のベテラン実業家が多い。その経営者に対して、財務分析・事業価値の説明・条件交渉を行うためには、年齢や経験値に関わらず高い専門性が必要だ。
2023年ごろからM&A仲介会社の新卒採用が本格化し始めたが、各社が求めるのは「入社後すぐに戦力になれる素質を持つ人材」だ。採用ハードルが高い理由は、業務の難易度そのものが高いからに他ならない。
M&A仲介の業務内容と営業の流れでも解説しているが、M&Aアドバイザーの仕事は「経営者と対等に話せる総合力」が前提条件になっている。それだけに、なんとなく入社した学生がついていけずに早期退職するケースも多いのが現実だ。
離職率と「クビ」の実態
「クビになる」という話については、少し正確に見る必要がある。大手M&A仲介会社の場合、突然解雇というよりも「成果が出ない→降格・役職剥奪→本人が居づらくなって退職」というプロセスを辿ることが多い。
成果主義の文化が強く、数字が出ない期間が続くと「この仕事は自分に向いていないのかもしれない」と感じて自ら去るケースが多数派だ。強制解雇というより、自発的な退職を促す構造になっている会社がほとんどだ。
ただし、業界によっては業績未達が一定期間続いた場合に退職勧奨を行うケースもゼロではない。入社前に雇用契約・評価制度の内容をきちんと確認しておくことが重要だ。
年収と待遇の「やばい」噂の真相
M&A仲介業界の「やばい」という評判の一方で、年収の高さについては広く知られている。M&A業界の年収ランキングを見ると、M&A仲介会社は日本のあらゆる業種と比較しても突出して高水準だ。
例えばM&Aキャピタルパートナーズの激務の実態と年収では、成果を出したコンサルタントが20代のうちに年収1,000万円を超えるケースも珍しくないことが示されている。またストライクの年収・採用情報でも、同様に高水準な報酬体系が確認できる。
ブラックかどうかの判断は「激務に見合った対価があるか」によっても変わる。M&A仲介は「高い要求・高いリターン」の構造であり、一般的なブラック企業とは本質的に異なる。
新卒でM&A仲介に入るメリット
短期間で高収入が狙える
「やめとけ」という声の陰に隠れがちだが、M&A仲介に新卒で入ることには明確なメリットがある。最大の魅力は若いうちに高収入を得られる可能性だ。
成果主義の世界では、年次よりも実力が評価される。3年目・4年目で年収1,000万円を超える社員が存在するのは、他の業界では考えにくい現実だ。「20代で高収入を目指したい」という志向が強い学生にとって、M&A仲介は数少ない選択肢の一つだ。
専門スキルと市場価値が急上昇する
M&A仲介で働くことで得られるスキルセットは、非常に幅広い。財務分析・事業価値評価・経営者との折衝・契約交渉・プロジェクトマネジメントなど、どれも他の職種では10年かけて習得するようなスキルだ。
この専門性は、将来の転職市場でも高く評価される。M&A仲介へのキャリアパスと転職ルートでも詳しく解説しているが、M&A仲介出身者はPEファンド・事業会社のM&A担当・経営幹部など、多様なキャリアパスを切り開いている。
M&A転職で失敗しないためのポイントを参考に、最初のキャリア選択を慎重に進めることが重要だ。
将来の転職・キャリアに圧倒的な強みになる
M&A仲介経験者は、転職市場で非常に高い評価を受ける。「経営者と直接交渉できる力がある」「財務・法務・税務の基礎を実務レベルで理解している」という人材は、あらゆる業界で重宝される。
M&A転職・未経験からの挑戦でも述べているように、M&A業界に「ゼロから入る」ルートとして新卒採用は最も効率が良い。中途での未経験参入は難易度が高いため、新卒というタイミングを活かすことには大きな意味がある。
またM&A業界で役立つ資格一覧に示されているように、業界経験と資格を組み合わせることでさらにキャリアの幅が広がる。
M&A新卒就職に向いている人・向いていない人
M&A仲介に向いている人の特徴
「やめとけ」という声を気にせず、M&A仲介で活躍できる人には共通した特徴がある。
1. 高い目標収入へのこだわりがある
「若いうちに稼ぎたい」「20代で年収1000万を目指す」という強い動機がある人は、激務に耐えられるモチベーションを持続しやすい。目先の辛さよりも、将来得られる成果に目を向けられる人が長く続く傾向がある。
2. 精神的にタフで立ち直りが早い
断られること、結果が出ない時期が続くことへの耐性が高い人。「数字が出ない時期」を乗り越えるには、折れにくいメンタルが必要だ。失敗から素早く立て直せる「レジリエンスの高さ」が求められる。
3. 経営・ビジネスへの純粋な関心が高い
M&Aは経営者の「会社を売る・買う」という最重要な意思決定に関わる仕事だ。ビジネスそのものへの深い関心と、経営課題を理解しようとする姿勢がある人には向いている。「どうすればこの会社は成長できるか」を自然に考えられる人が強い。
4. 自律的に動ける主体性がある
上司に言われた仕事だけこなすのではなく、自らソーシング先を開拓し、案件を組み立て、推進できる自律性がある人に向いている。M&Aの仕事は、「自分で動かなければ何も進まない」という場面の連続だ。
M&A業界に向いてる人の特徴でも、向いている人物像を詳しく整理しているので参考にしてほしい。
やめておいたほうがいい人の特徴
一方で、「やめとけ」のアドバイスが当てはまるケースも確かに存在する。
1. 安定・安心を最優先したい
固定給が安定していること、決まったルーティンで働けることを重視する人には、成果主義・変動報酬型のM&A仲介は向かない。「安心して長く働ける場所」を重視するなら、別の業界の方が幸せになれる可能性が高い。
2. 承認欲求が強く、批判に弱い
新規営業では断られ続けることが日常だ。否定・無視・拒絶を受け続けても前向きに続けられないと、精神的に消耗してしまう。「認めてもらいたい」という気持ちが強い人ほど、早期に心が折れやすい。
3. 数字への責任感が低い
「ノルマは参考程度」という意識では続けられない業界だ。数字に正直に向き合い、未達の時に自分を律して動き続けられる覚悟が必要だ。
4. 業界への興味・理解が薄い
「なんとなく高収入そうだから」「有名企業だから」という理由だけで入ると、入社後のギャップが大きくなる。M&Aという仕事の社会的意義や面白さを理解している人の方が、長く続く傾向がある。
M&A仲介の新卒採用の現状(2023年以降の動向)
2023年以降に本格化した新卒採用
M&A仲介会社が新卒採用に力を入れ始めたのは2023年ごろからだ。それ以前は、中途採用(証券・銀行・コンサル出身者など)が主流だった。
しかし、業界の拡大に伴い採用ニーズが増し、「新卒から育てて即戦力化する」モデルに各社がシフトしてきた。その背景には、業界全体の成長と、新卒を早期に育成することで長期的な定着率・生産性を高めるという戦略がある。
ただし、「新卒採用が増えた=誰でも入れる」ではない。各社とも採用の質は維持しており、M&A業界の就職難易度ランキングに示されているように、選考の難易度は依然として高い。また各社とも新卒に中途レベルの素地を求めていることは変わらず、選考では地頭・論理的思考力・数字への耐性が厳しくチェックされる。
主要M&A仲介会社の採用規模と特徴
主要各社の新卒採用規模の目安は以下の通りだ(規模は毎年変動する)。
- 日本M&Aセンター・ストライク:50〜100名程度
- M&A総合研究所(クオンツ総研):10〜30名程度
- M&Aキャピタルパートナーズ(MACP):数人〜10名程度(年によって大きく変動)
大手でも採用規模は限られており、プライム上場企業でも年によっては10名前後しか採用しないケースもある。それ以外の会社はさらに少人数だ。各社の詳細は以下を参考にしてほしい。
- 日本M&Aセンターの転職難易度
- 【27卒/28卒】M&Aキャピタルパートナーズ(MACP)の新卒採用・就職難易度を完全網羅!
- 【27卒/28卒】クオンツ総研HD(旧M&A総研)の就職難易度と面接対策を完全網羅!
- M&A仲介会社の一覧・大手3社の違い
採用フローや選考対策については、M&A業界のインターン情報も合わせて確認しておくと就活準備に役立つ。
主要M&A仲介会社の「やばい」「ブラック」評判を個別検証
日本M&Aセンター:業界最大手の実態
日本M&Aセンターは業界最大手であり、知名度・ブランド力ともにトップクラスだ。「やばい」「ブラック」という話は相対的に少ないものの、やはり激務・高プレッシャーであることに変わりはない。
日本M&Aセンターの年収・評価制度でも確認できるように、インセンティブ報酬が大きく、成果が出ればその分だけ高収入が期待できる。一方で、日本M&Aセンターの勤続年数・離職率を見ると、業界最大手ゆえに「入社してみてから自分に合わないと気づく」学生も一定数いる。
M&Aキャピタルパートナーズ(MACP):少数精鋭の激務と高報酬
MACPは「超少数精鋭・超高報酬」で知られる会社だ。MACPの年収2,000万の裏側!少数精鋭の激務と転職難易度を徹底解剖でも詳しく解説されているが、平均年収は業界でもトップクラスだ。
採用基準が非常に高く、MACPの採用大学・学歴フィルターでも示されているように、入社のハードルは業界でも群を抜く。「やばい」と言われる理由の多くは、その激務の強度にある。ただし、成果を出した社員には桁違いの報酬が還元される構造になっている。
M&A総合研究所(クオンツ総研):急成長企業の実態
クオンツ総研HD(旧M&A総研)の大幅減益と社名変更の真実でも触れているが、急速に規模を拡大してきた会社だ。AI活用やテクノロジーによる業務効率化を進めている点が特徴的だが、急成長期ゆえの組織的な変化が「やばい」という評判につながることもある。
クオンツ総研HDの就職難易度と面接対策では最新の採用情報と選考対策を詳しくまとめているので参考にしてほしい。
ストライク:上場企業としての安定感
ストライクグループの通期予想取り下げの衝撃でも分析しているように、ストライクは業界の中では上場企業としてのガバナンスが比較的しっかりしており、「働きやすい」と評価されることもある会社だ。ただし、やはり成果主義であることに変わりはなく、「激務ではない」とは言えない。
「やめとけ」と言われるM&A業界で成功するための準備
入社前にやるべき3つのこと
M&A仲介に新卒で入って成功する人と、早期離職する人の差は、入社前の準備量に大きく依存する。成功者に共通する入社前の準備を整理する。
①業界・企業の徹底的なリサーチ
「M&A仲介会社に入りたい」という気持ちだけでは選考を突破できないし、入社後に長続きもしない。なぜM&Aという仕事に魅力を感じるのか、その会社のどこに共感しているのかを言語化できるレベルまで業界研究を深めることが前提だ。M&A業界ランキング・仲介会社比較やM&Aコンサルタントの仕事内容などを活用して、業界全体の地図を頭に入れておこう。
②財務・M&Aの基礎知識のインプット
面接では、財務諸表の基本的な読み方や、M&Aの大まかなプロセスについて問われることがある。完璧でなくてよいが、「全く知らない」状態では面接官に対して真剣さが伝わらない。M&Aの手数料・レーマン方式の解説やM&Aアドバイザーの実務と役割などを読んで、業界の基本的な仕組みを把握しておくだけで大きな差がつく。
③インターン・OB訪問での実態把握
M&A業界のインターン情報を参考に、可能であれば各社のインターンシップに参加しておくことを強くすすめる。「やめとけ」という声の多くは、実態を知らないまま入社して後悔するケースから生まれている。インターンやOB訪問で現場のリアルを体感してから判断すれば、ミスマッチは大幅に減らせる。
エージェントを早期に活用するメリット
M&A仲介の就活は、一般的な就活ルートとは異なる。大学のキャリアセンターや一般的な就活サイトでは、業界特有の選考情報・内定獲得のノウハウが限られている。M&A仲介特化のエージェントを早期(大学2〜3年)から活用することで、次のメリットが得られる。
各社の選考傾向・面接官の特徴をあらかじめ把握できる点、書類・ES対策で「業界の言語」に合わせた表現ができる点、模擬面接で本番に近い経験を積める点、内定後の不安についても相談できる点が主なメリットだ。「早すぎる」と思う時期こそ、動き出すことが最大の差別化になる。Careerladderは100名以上の内定実績、書類通過率99%以上、内定率90%以上の支援実績を持つM&A仲介・営業職特化の新卒エージェントだ。
【無料相談】M&A新卒就職の準備をCareerladderに相談する
M&A新卒就活でよくある疑問(Q&A)
就活生から実際に多く寄せられる疑問に答えておく。
Q. 文系・理系どちらが有利ですか?
M&A仲介の採用では、文系・理系の区別はほとんど関係ない。それよりも、「論理的思考力があるか」「経営者と話せる素地があるか」「タフなメンタルを持っているか」の方が重視される。財務・会計の知識は入社後に習得できるため、専攻よりも人物面が選考の中心だ。M&A仲介の上場企業一覧を見ると分かるように、大手各社は幅広い学部・専攻出身者を採用している。
Q. 「エージェント経由」と「直接応募」はどちらが有利ですか?
M&A仲介の新卒採用においては、専門エージェント経由の方が選考に有利になるケースが多い。エージェントが推薦状・評価を添付して送り出すことで、企業側の初期スクリーニングを通りやすくなるからだ。また、エージェントが各社の選考傾向・面接官の特徴を把握していれば、個別最適化した対策ができる。直接応募でも挑戦はできるが、業界特化の情報量とサポートの差は大きい。
Q. MARCHや地方国立大でも採用されますか?
採用されるケースは十分にある。ただし、会社ごとに採用傾向は異なり、MACPの採用大学・学歴フィルターでも示されているように、一部の会社では特定の大学群を優遇する傾向がある。大切なのは学歴だけでなく、「なぜM&Aなのか」「なぜこの会社なのか」を具体的に語れるか、面接での論理的思考力・コミュニケーション力が高いかどうかだ。
Q. インターンに参加しないと内定は難しいですか?
インターン参加は必須ではないが、非常に有効だ。特に大手各社のサマーインターンは早期選考に直結するケースがあり、インターン参加者が優先的に本選考に進める会社もある。インターンを通じて業界・企業のリアルを体感できることは、選考準備においても大きなアドバンテージになる。
Q. 早期退職したらキャリアが終わりますか?
M&A仲介で早期退職したとしても、必ずしもキャリアが終わるわけではない。M&A業界での実務経験(たとえ短期間であっても)は、転職市場で一定の評価を受ける。M&A仲介へのキャリアパスと転職ルートでも解説しているように、M&A業界からのキャリアパスは多様だ。事業会社のM&A担当・コンサルティング・金融機関など、転職先の選択肢は広い。ただし、「なぜ短期で辞めたのか」を適切に説明できる自己分析が必要になる。
M&A仲介の「評判」をどう読むか
ネット上にあふれる「やめとけ」情報の多くは、「M&A仲介に向いていなかった人」の声が中心だ。もちろんその体験は本物だし、業界の厳しさを示す重要な情報でもある。しかし、「向いていない人がつらかった」という事実は、「向いている人にもつらい」という意味ではない。
評判を読む際には、「誰が・どんな状況で書いているか」を意識することが大切だ。成果が出ずに早期退職した人の声、激務が体に合わなかった人の声がある一方で、5年以上活躍し高収入を得ている人の声、業界経験を活かしてステップアップした人の声もある。同じ「激務」という事実に対して、「それでも続ける価値がある」と感じる人と「割に合わない」と感じる人がいる。どちらが正しいかではなく、「自分はどちらのタイプか」を判断することが重要だ。
またM&A転職で失敗しないためのポイントでまとめているように、情報収集と自己分析を徹底することで、ミスマッチのリスクは大幅に低減できる。業界の実態を理解した上で「それでも挑戦したい」と言えるかどうかが、長続きできるかどうかの分岐点になる。
まとめ:「やめとけ」という声に惑わされず、自分軸で判断しよう
「M&A新卒やめとけ」という声の背景には、以下のリアルがある。
- 激務・高プレッシャーは事実であり、それに向いていない人は早期に辞める傾向がある
- 成果主義の文化上、「クビになるかも」という不安は常に存在する
- 一方で、成果を出した人の報酬・成長・キャリア価値は他業界の比ではない
- 2023年以降に新卒採用が本格化し、各社が「新卒から育てる」モデルにシフトしつつある
- 新卒に中途レベルを求めている業界特性上、準備なく入社するとギャップが大きくなる
- 向いている人にとっては、新卒でM&A仲介に入ることは最高のキャリアスタートになり得る
「やめとけ」は全員に当てはまる言葉ではない。大切なのは、業界のリアルを正確に理解した上で、「自分がそこで戦えるか」を冷静に判断することだ。
もし少しでも「M&A仲介で挑戦してみたい」という気持ちがあるなら、まずはプロに相談することをおすすめする。自分の適性・準備状況・選考対策を一緒に整理することで、「自分には向いていない」なのか「準備次第で十分狙える」なのかが明確になるはずだ。
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