M&Aアドバイザーへの就職・転職を考えている方にとって、M&Aアドバイザーがどんな仕事なのか気になるのではないでしょうか。
また、アドバイザリー業務というと、案件の成約に応じて報酬が支払われるイメージがありますが、M&Aアドバイザーの給与体系も同じなのか知りたいですよね。
そこで今回は、M&Aアドバイザーの業務内容や待遇、必要なスキル・資格などについて詳しく解説しています。
業務上のやりがいや厳しさについてもお伝えしますので、M&Aアドバイザーを目指す方はぜひ参考にしてくださいね。
目次
M&Aアドバイザーとは
M&Aアドバイザーは、企業に対してM&Aの専門的な知識を用いてアドバイス・サポートを行う専門職です。
M&Aコンサルタント、またはファイナンシャルアドバイザー(FA)とも呼ばれています。
法務・税務・財務・会計など幅広い専門知識を持ち合わせ、自社や買収予定の会社の状況を分析し、M&Aが実施できるかどうかや、M&A後にスムーズな経営統合を実現できるようサポートします。
急速に変化するビジネスの世界では、企業規模に関わらずM&Aは重要な戦略となっていますが、自社だけでは完結させることが困難なケースも多々あります。
そのような課題・問題を抱えた企業が円滑にM&Aを進めるため、M&Aアドバイザーの存在が必要とされています。
M&Aアドバイザーの業務を行う企業(組織)
M&Aアドバイザーはどういった企業(組織)で活動しているのでしょうか。
ここでは、M&Aアドバイザーが在籍する8つの企業(組織)について解説します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、買収を希望する企業と売却を希望する企業の双方を募集し、条件のマッチングを行うことでM&Aを成立させる役割を担います。
主に中小企業を対象とし、相手探しからクロージングまでを一貫してサポートし、買い手・売り手双方に中立的な立場で交渉を進め、両者にとって最適なM&Aの実現を目指すのが特徴です。
アドバイザリー専門会社
アドバイザリー専門会社は、M&Aアドバイザー業務に特化した企業であり、M&Aの相手探しからクロージングまで、M&Aに関する業務全般を請け負っています。
仲介会社と同様に、M&Aの全プロセスにおいて専門性を持ったサービスを提供することが強みで、最適なM&Aの実現を目指します。
代表的なアドバイザリー専門会社には、GCA株式会社やデロイト トーマツ TMAC株式会社などがあります。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームは、企業の経営全般に関する総合的なコンサルティングを提供する企業です。
経営戦略・人事・法務など専門領域ごとに分かれており、各分野の課題に対して適切なアドバイスを行います。
企業の現状分析や将来予測に基づき、M&Aを含む最適な経営戦略の立案を支援することが多いのが特徴です。
FA(ファイナンシャルアドバイザー)
ファイナンシャルアドバイザー(FA)は、買収側または売却側の企業のいずれかと専属契約を結び、M&Aに必要なアドバイスや交渉・契約締結などを行う専門家です。
主に大企業を中心とした大規模なM&Aを対象とし、各社の代表としてM&A契約の交渉やトップ面談の日程調整などを担当します。
銀行
銀行では、M&Aアドバイザー業務を専門的に行う部署を設けている場合があり、メガバンクや一部の地方銀行、外資系銀行などが代表的な例です。
とくに地方銀行では、融資先である中小企業を対象に、M&Aに関するアドバイスやM&Aの仲介を積極的に行っています。
証券会社
大手証券会社では、M&Aアドバイザー業務に特化した部門を設けており、証券会社の強みは株式を活用したM&A戦略の立案などのサポートを行っています。
上場企業の公開買付け(TOB)など、株式を用いたM&Aにおいてその専門性を発揮します。
会計・税理士事務所
会計・税理士事務所は、M&Aにおける財務や税務の専門的な相談に対応することができます。
一般的な事務所では総合的なM&Aの相談は受けられませんが、M&A関連のグループに属する事務所では、M&Aに関する幅広い相談が可能です。
とくに財務諸表の分析や税務リスクの評価など、M&Aの財務的な側面をサポートできる点が会計・税理士事務所の強みです。
法律事務所
法律事務所は、M&Aにおける法務面に特化したサポートを行っており、主に経営法務やコンプライアンスなどの分野で、その専門性を発揮します。
法律事務所の強みは、M&Aを実施する上での法的リスクを評価し、適切な対策を講じることにあります。
とくに、法務デューデリジェンスなどの法務関連業務において重要な役割を果たします。
M&AアドバイザーとM&A仲介会社の違い
M&AアドバイザーとM&A仲介会社は、そもそも言葉が指し示す対象が異なっています。
M&AアドバイザーはM&Aの業務をサポートする個人を指し、M&A仲介はM&Aのサポート・アドバイスを行う業務全体を指します。
業務としては、M&Aアドバイザーは、買収側・売却側のいずれかの側に立ち、クライアントの利益を最大化するために総合的な支援を行います。
対照的に、仲介会社は、買収側・売却側の間に立ち、中立的な立場で取引の成立を進めます。
M&Aアドバイザーは1つの案件で両社を同時に支援しませんが、仲介会社は買収側・売却側の両社を支援するんですね。
手数料に関しては、M&Aアドバイザーは買収側・売却側どちらかから報酬を得るのが一般的ですが、M&A仲介会社は買収側・売却側の双方から成功報酬を得ることが多くなります。
M&Aアドバイザーと経営コンサルタントの違い
M&Aアドバイザーと経営コンサルタントの違いは、対象とする分野の広さと深さにあります。
M&AアドバイザーはM&Aという分野に特化してアドバイスを行うのに対し、経営コンサルタントはM&Aを含む経営全般について広く包括的にアドバイスを行います。
経営コンサルティングは、企業の経営戦略や方針、計画などに関するサポートを担当し、M&Aに関する相談や仲介業務を行うこともありますが、M&Aアドバイザーほどの専門性は持ち合わせていません。
したがって、M&Aの領域において、両者が同じ役割を担っているとは言えないでしょう。
M&Aアドバイザーの業務内容
買収側・売却側に分かれた企業が経営統合を行うM&Aですが、M&Aアドバイザーはいくつかの業務プロセスに分けて統合までをサポートします。
ここでは、M&Aアドバイザーの以下の8つの業務プロセスについて解説します。
- M&A相手企業の選定とマッチング
- 必要資料の作成
- バリュエーション(価値算定)
- 面談・交渉のサポート
- デューデリジェンス(企業監査)
- 契約書を作成
- クロージング
- PMI(買収後の統合)
M&A相手企業の選定とマッチング
M&A相手企業の選定とマッチングは、まずはロングリストの作成から始まります。
20〜30社程度のM&A候補企業を挙げ、企業名・本社所在地・取扱商品・売上高などの基本情報を記載します。
次にロングリストの中から、M&A戦略との適合性やシナジー効果などを基準に数社〜8社程度に絞り込み、ショートリストを作成します。
ショートリストには、株主構成・時価総額・事業内容などの詳細情報も記載し、候補企業に対して交渉を打診する優先順位を決定します。
ロングリストとショートリストを経ることで、売却側または買収側の希望に則した、M&Aの実現の可能性が高い企業を選定することができます。
相手企業の選定は、M&A実施後の経営を左右する重要な事項であるため、慎重に行う必要があります。
必要資料の作成
M&A相手の選定とマッチングの後は、売却企業に関する『ノンネームシート』と『企業概要書』という2種類の資料を作成します。
『ノンネームシーム』は、企業名を伏せた上で、事業内容・業績・財務状況などを記載した資料で、主にM&Aの選定とマッチングの段階で買収側の企業に提供されます。
これにより、秘密保持契約を締結する前に買収側の企業の関心をチェックすることができます。
一方、『企業概要書』は、会社名・所在地・事業内容・財務状況・経営戦略などの売却側の企業の詳細な情報を記載した資料で、秘密保持契約を締結した買収側の企業の候補にのみ提供されます。
M&Aの実務上では、まずM&Aアドバイザーが『ノンネームシート』を買収側の企業の候補に提出し、興味を示した場合に秘密保持契約を締結した上で『企業概要書』を提出します。
このプロセスを経ることで、売却側の企業の機密情報やM&Aの実態が外部に漏洩するリスクを軽減できます。
バリュエーション(価値算定)
バリュエーション(価値算定)は、M&Aの交渉を本格的に始める前に、売却側の企業や事業の価値(企業価値や事業価値)を算出する重要な業務です。
バリュエーションで算出された企業価値の金額をベースに、M&Aの取引価格をめぐる価格交渉が行われるため、M&Aの成否を左右する鍵となります。
買収側・売却側の企業の状況に応じて最適なアプローチを選択し、適切な企業価値を算出しなければなりません。
バリュエーション(価値算定)の方法は、以下の3つのいずれかで行うことが一般的です。
- 『インカムアプローチ』・・・将来の利益やキャッシュフローに基づいて企業や事業の価値を算出方法
- 『コストアプローチ』・・・貸借対照表の純資産に基づいて企業や事業の価値を算出方法
- 『マーケットアプローチ』・・・同業他社や過去の取引事例に基づいて企業や事業の価値を算出方法
面談・交渉のサポート
M&A相手企業の選定とマッチング、必要資料の作成バリュエーション(価値算定)まで進むと、いよいよM&Aに向けて買収側・売却側の企業による面談・交渉がスタートします。
この段階においてM&Aアドバイザーは、条件面の交渉が円滑に進むようにサポートする役割を担います。
交渉では、譲渡金額・スケジュール・社員の処遇・スキームなどの具体的な条件を決定していきますが、交渉が長期化したり一方の企業に不利な条件でM&Aを進む事態を防ぐ必要があります。
M&Aアドバイザーは、買収側・売却側の企業双方の妥協点を見つけ出し、円滑で満足いく条件に近づけるためのサポートを行います。
その際、今後のスケジュールの確認・すり合わせや、必要な契約書作成といった実務も担当します。
経営陣による面談・交渉を終え、双方の企業が納得しM&Aを行う意思を確認できれば、スケジュールや譲渡価額、合意している条件などを定めた基本合意を締結します。
デューデリジェンス(企業監査)
M&Aアドバイザーが行う重要な業務に、デューデリジェンス(企業監査)もあります。
デューデリジェンス(企業監査)とは、売却側の企業が持つ潜在的な価値・リスク・収益性などを、事業・財務・税務・法務・ITなどの面から総合的に分析する業務です。
売却側の企業が買収に適しているかを確認するための重要な調査になりますね。
また、M&Aアドバイザーは、デューデリジェンス(企業監査)で得た分析結果に基づき、買収側・売却側企業同士の交渉ポイントの整理や会議の調整なども担当します。
M&Aの失敗を防ぐためには、デューデリジェンス(企業監査)の徹底は不可欠です。
デューデリジェンス(企業監査)を行うメリットは、大きく分けて以下の2つになります。
- バリュエーション(価値算定)の結果を修正して適切な買収額を割り出せる
- 重大なリスクを抱えた売却側企業に対するM&Aの実施を回避できる
契約書を作成
M&Aでは、複数の場面で契約書を作成する必要があり、M&Aアドバイザーは円滑な推進に向けて以下の3種類の契約書の作成を行います。
- 秘密保持契約書
- 基本合意書
- 最終的な契約書
1つ目の『秘密保持契約書』は、M&Aの協議や交渉段階で相手企業に開示する情報について秘密保持義務を定める契約書です。
この契約書を作成することで、情報漏洩のリスクを軽減し、買収側・売却側の企業の双方が安心して情報共有することができます。
2つ目の『基本合意書』は、M&Aの主要な条件を双方が合意した内容をまとめた契約書です。
M&Aの実施に向けたロードマップを明確にし、買収側・売却側の企業の双方の権利義務を定めます。
3つ目は『最終的な契約書』は、M&Aに関する全ての条件を詳細に定めた法的拘束力を持った契約書で、M&Aスキームによって株式譲渡契約書・事業譲渡契約書・合併契約書など名称が異なります。
譲渡対象となる資産や権利をはじめ、譲渡価額・支払い方法・社員の雇用条件・税務関係など、あらゆる事項を網羅的に規定します。
クロージング
クロージングとは、M&Aが実行され、売却側の企業の事業や経営権が買収側の企業へ移転することを意味します。
具体的なクロージングの内容は、用いているM&Aスキームによって異なります。
例えば株式譲渡の場合、売却側の企業による株券の引き渡しと、買収側の企業による対価の支払いがクロージングで行う業務となります。
M&Aアドバイザーは、クロージングで何を行うべきかの助言を行うとともに、クロージングを実行するために必要な前提条件を満たすためのサポート(クロージングサポート)も行います。
M&Aの実行が売却側の企業のステークホルダーとの契約事項に抵触しないかなどを確認し、売却側の企業のステークホルダーにM&Aの実行を告知することで、企業を譲渡することの承諾を得るといったサポートを行います。
PMI(買収後の統合)
PMI(Post-Merger Integration)は、M&Aが実施された後の買収側・売却側の企業の経営統合を行う作業です。
統合の対象となるのは、企業文化・人事制度・ITシステムなどです。
PMIでは、これらの要素を適切に統合することで、売却側の企業の持つ強みを最大限発揮させたり、買収側の企業の経営資源とのシナジー効果を作ることで、収益増加・コスト削減・業務効率化などの効果を発揮させます。
PMIは、買収側・売却側の企業双方の求めていた経営状況を実現させるため、M&Aにおいては最終的な仕上げとも呼べる重要なプロセスです。
M&Aアドバイザーの待遇
業務内容と併せて気になるのが、M&Aアドバイザーの待遇です。
企業同士の経営統合という規模の大きな案件に携わりますので、好待遇のイメージがあるのではないでしょうか。
ここからは、M&A アドバイザーの待遇に関する以下の3つの項目についてお伝えします。
- 年収は約600万円から2,000万円
- 福利厚生
- 勤務形態
年収は約600万円から2,000万円
M&Aアドバイザーの年収は、年齢・実績・企業によって差異がありますが、おおむね以下のような傾向があります。
金融庁の『有価証券報告書』によると、M&Aアドバイザーの平均年収は1,200万円とされており、上場している経営コンサルタント会社の過去10年間の平均年収推移は約600万円から1,200万円です。
M&Aアドバイザーの求人情報では、基本年収600万円に歩合を加えて1,000万円を超えるケースが多く見られ、外資系の経営コンサルタント会社になると年収が2,000万円近い場合もあります。
以上の情報を総合すると、M&Aアドバイザーの年収は約600万円から2,000万円と幅があることがわかります。
M&Aアドバイザー 業種・業態別の年収をまとめると、以下のようになります。
- 『上場している経営コンサルタント会社』・・・約600万円から2,000万円
- 『非上場の経営コンサルタント会社』・・・約400万円から1,000万円
- 『外資系の経営コンサルタント会社』・・・約650万円から2,000万円
- 『フリーランス』・・・約600万円から1,000万円
福利厚生
M&Aアドバイザーの福利厚生は、会社によって用意されているものが一部異なります。
一般的にM&Aアドバイザーに用意される福利厚生について、以下の表にまとめました。
種類 | 項目 |
標準的に用意される福利厚生 | 健康保険 厚生年金保険 雇用保険 労災保険 社会保険料の会社負担 育児休暇・介護休暇 慶弔休暇 有給休暇 |
会社ごとに異なる福利厚生 | 住宅手当 通勤手当 資格手当 リフレッシュ休暇 研修制度 社内報 運動施設 社宅 託児所 |
その他の制度 | インセンティブ制度:成果に応じて賞与やボーナスが支給される制度 ストックオプション制度:一定の勤続年数や業績を達成した場合に、株式を付与する制度 カフェテリアプラン:支給されたポイントをもとに、自由に福利厚生を選択できる制度 |
勤務形態
M&Aアドバイザーの雇用形態は、正社員・契約社員など勤務先の規定によって異なります。
学歴や資格は必須条件ではありませんが、大学・大学院卒が多くを占め、経済・経営・商学・法律専攻が多く、理系出身者もいます。
採用に関しては、実務経験と専門知識の豊富さが重視され、中途採用者が主流となっています。
勤務形態に関しても勤務先の規定によって異なり、フレックスタイム制や裁量労働制を採用している企業もあります。
また、勤務時間に関しても案件の数や進捗状況によって変わり、平均残業時間は月30~50時間程度、多い時で80~100時間程度となる場合もあります。
M&Aアドバイザーに必要なスキル・資格
M&Aアドバイザーに必要とされるスキル・資格には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、M&Aアドバイザーに必要な以下の3つのスキル・資格について解説します。
- 財務に関する幅広い知識・実務経験
- 高いレベルのポータブルスキル
- 取得しておくと有利な資格
財務に関する幅広い知識・実務経験
M&Aアドバイザーとして働くためには、会計・法務・税務・ファイナンスなど、財務に関する幅広い知識と実務経験が必要です。
M&Aでは、財務に関する業務は外部の専門家(公認会計士など)に依頼することもありますが、得られた情報からクライアントに有益な情報を選別するには、M&Aアドバイザー自身の財務に関する一定の知識が不可欠です。
専門知識が欠如した状態での判断はクライアントの利益を損なうリスクがあるため、M&Aアドバイザーは他の専門家から得た情報を理解・対処するだけの知識を備えていなければなりません。
また、実務経験が不足しているM&Aアドバイザーは、ケーススタディからスピーディーかつ正確な状況判断が行えないため、M&Aをスムーズに遂行する実行力に問題が生じる可能性があります。
財務に関する幅広い知識と実務経験により、状況判断・実行の両方の側面からM&Aを適切に進めることができます。
高いレベルのポータブルスキル
M&Aアドバイザーには、幅広い知識と専門知識に加え、高いレベルのポータブルスキルも必要とされています。
ポータブルスキルとは、職種や業種を超えて持ち運び可能な職務遂行上のスキルを指し、プレゼンテーション力・傾聴力・計画力・論理的思考能力・課題解決力などが該当します。
これらは総じて『ビジネス基礎力』とも呼ばれており、交渉・計画・対話が重要なM&Aアドバイザーにおいても、土台部分で必要になるスキルと言えます。
取得しておくと有利な資格
M&Aアドバイザーとして働く上で、取得しておくと有利になる資格があります。
主要な資格については、以下の表にまとめました。
資格名 | 概要 |
事業承継・M&Aエキスパート | ・事業承継およびM&Aに関する基本知識の理解度を測り、習得度を検証する資格 |
事業承継シニアエキスパート | ・「事業承継・M&Aエキスパート」の上位資格・事業承継の知識とスキルをより深く理解できる |
M&Aシニアエキスパート | ・「事業承継シニアエキスパート」の上位資格であり、M&Aエキスパート認定制度の最高位資格・認定講座ではM&Aの実例を基にノウハウを学び、高いレベルのM&A遂行能力を身につける |
M&Aスペシャリスト | ・M&Aの実務に関する専門資格・資格取得後は、年1~2回の更新指定研修やM&Aスペシャリスト大会に参加できる |
JMAA認定M&Aアドバイザー | ・日本M&Aアドバイザー協会の正会員として認められたことを証明できる資格・協会入会後は手厚いサポートを受けられ、年2回の会員の集いに参加できる |
M&Aに直接関係しませんが、取得しておくとM&Aを進める際に活かせる資格もあります。
以下の表にまとめました。
資格名 | 概要 |
弁護士 | ・法的な専門知識を有する弁護士資格は、M&Aの法務全般に活かせる資格・会社法や民法の知識を活かし、M&A業務を遂行するのに役立つ |
公認会計士 | ・買収監査やM&A戦略の立案など、M&Aの業務全般で活かせる資格 |
税理士 | ・税務に関するアドバイスができ、M&A業務遂行に役立つ・とくに中小企業やベンチャーなど、小規模M&A案件で活かせる |
司法書士 | ・登記、供託、訴訟など法律事務の専門的な知識を取得できる・司法書士しか扱えない法務があるため、M&Aアドバイザーとして活かせる |
社会保険労務士 | ・人事や労務に関する専門的な知識を取得できる ・M&A後の人事制度や給与制度などの融合、改定で活かせる |
ファイナンシャルプランナー | ・不動産、保険、相続など財産運用に必要な知識を取得できる・M&Aアドバイザーとして、資産運用や譲渡・買収などの方向性を示す際に役立つ |
事業承継士 | ・事業承継の知識を専門的に学べる民間資格・M&Aを行う際のサポートに活かせる |
M&Aアドバイザーのやりがい
企業同士の統合という難しい案件をサポートするM&Aアドバイザーですが、やりがいについても気になるところです。
ここでは、M&Aアドバイザーとして働く上で大切なやりがいについて、以下の4つの項目に分けてお伝えします。
- 影響力のある規模の大きな案件に携われる
- クライアントの課題・問題解決に貢献できる
- 信頼関係を築く達成感が味わえる
- 給料の水準が高い
影響力のある規模の大きな案件に携われる
M&A業界では、1案件あたりの金額規模が他業界と比較して非常に大きく、中堅どころの中小企業を対象とした案件でも、数千万円から数億円の取引となります。
大型案件の場合、さらに金額規模が大きくなり、数十億円から数百億円規模の取引に携わることができます。
M&Aアドバイザーのやりがいの1つは、スケールの大きい仕事に携われることであり、自身の仕事が社会に大きな影響を与えていると実感できる点にあります。
クライアントの課題・問題解決に貢献できる
M&Aアドバイザーのクライアントとなる企業は、後継者不足による事業承継問題や経営不振、市場の成熟による成長鈍化など、多様な課題・問題を理由にM&Aを実施しています。
M&Aアドバイザーは、これらの企業のM&Aをサポートすることにより、経営上の根本的な課題・問題解決に貢献することができます。
企業の経営の立て直しに携わることにより、自身の仕事に社会的意義を感じることができるでしょう。
信頼関係を築く達成感が味わえる
M&Aアドバイザーの仕事では、単に数値の分析を行うだけでなく、M&Aに関わる社員・役員と信頼関係を構築することも重要です。
売却に消極的な企業を説得したり、慎重派の役員を含めて合意形成を図ることは、アドバイザーとしての技量が試される場面です。
また、買収先だけでなく、クライアント内で反対意見を持つ社外取締役や懐疑的な役員を説得し、理解を得ることも大切な役割です。
クライアントの抱える課題・問題を一緒に悩み、解決策を考えることで深い信頼関係が生まれ、M&Aの成約率も向上します。
M&Aアドバイザーにとって、買収側・売却側双方の社員と信頼関係を築くプロセスはやりがいの1つだと言えるでしょう。
給料の水準が高い
M&A業界の給料の水準は高く、上場しているM&A仲介会社の大半が、上場企業の平均年収ランキングにおいて上位に入っています。
M&Aアドバイザーの報酬は年功序列ではなく、案件の成約数に基づくインセンティブ制が主流であり、実力次第で収入アップが見込めます。
また、案件1件あたりの規模が大きいため、年間で数件の成約があれば、年収が1,000万円を優に超えるような報酬設定が一般的です。
とくに、Big4と呼ばれる大手会計事務所・外資系金融機関・独立系M&Aアドバイザリーなどでは、2,000万円前後のような高い年収を得られるケースがあります。
実力が収入に反映されやすいことも、M&Aアドバイザーのやりがいの1つですね。
M&Aアドバイザーの厳しさ
M&Aアドバイザーは規模の大きな案件に携わるため、働く上で一定の厳しさはあります。
ここでは、M&Aアドバイザーとして働く上で覚悟しなければならない厳しさについて、以下の4つの項目に分けてお伝えします。
- 業務量が多くハードワーク
- 実力主義・成果主義
- 損失への強いプレッシャー
- 学び続ける必要がある
業務量が多くハードワーク
M&Aアドバイザーの業務は多岐にわたり、膨大な作業量が要求されるため、基本的にハードワークな職種です。
対象企業の業界動向や同業他社の調査、譲受企業・譲渡企業の条件すり合わせなど、幅広い情報と資料準備が必要であり、長時間労働になりがちです。
また、M&A業務には閑散期と繁忙期があり、繁忙期には平均残業時間が80時間から100時間に及ぶこともあるため、体力・気力・精神力が必要になることは覚悟しなければなりません。
実力主義・成果主義
M&Aアドバイザーの職場は、実力主義・成果主義が徹底されているため、継続した努力が必要な厳しい環境だと言えます。
多くの業界・職種以上にインセンティブの割合が高く、成果に応じて収入が大きく変動するため、十分な成果を出せない場合は収入も下がってしまいます。
一定のペースで業務が進められる環境を望んでいる人や、年功序列的な昇進・昇給を重視する人には、M&Aアドバイザーの職場環境は適さない可能性が高いでしょう。
損失への強いプレッシャー
M&Aアドバイザーの仕事は、クライアントに与える損失の大きさから、常に強いプレッシャーにさらされています。
財務諸表や経営資料を綿密に分析し、それに基づいて結論を導き出す必要があるため、労力がかかる上に、細かなミスへの不安と常に向き合わなければなりません。
金額や数値を扱う業務の性質上、とくに株価算定や税務における些細な誤りやエラーが、クライアントに甚大な損失をもたらす可能性があるからですね。
また、M&Aは成功報酬が大きい一方、案件が突然消滅するリスクもあり、インセンティブがなくなるリスクもつきまとうことになります。
案件進行中は、終始気が休まらない状態が続くため、総じてメンタル面での負荷が大きいと言えるでしょう。
学び続ける必要がある
M&Aアドバイザーは、案件ごとに異なる企業・業界に対応する必要があるため、常に新しい知識・情報を学び続けることが求められます。
とくに交渉では、業界に精通した経営陣と同等の知識を有していないと、初回訪問の段階で信頼を失い、機会損失につながる恐れがあります。
また、M&Aの案件は1つとして同じものがなく、マニュアル通りに進むことが少ないため、それぞれの案件に合わせた柔軟な対応が求められることも継続的な学びが必要な理由です。
そのため、ルーティンワークを中心に働きたい人には向かない職種だと言えるでしょう。
M&Aアドバイザーは未経験でも就職・転職が可能!
M&Aアドバイザーは、専門的な知識を用いてM&Aを実施したい企業にアドバイスを行う専門職です。
法務・税務・財務・会計など幅広い専門知識を持ち合わせ、買収側・売却側の企業の状況を分析し、M&Aの実現可能性を調査したり、M&A後のスムーズな経営統合をサポートします。
M&Aアドバイザーのやりがいは、規模の大きな案件に携われたり、企業の課題・問題解決に貢献できることに社会的意義を感じ働けることです。
また、M&Aアドバイザーの年収は約600万円から2,000万円と幅があり、実力次第で収入アップが見込める職種であることも魅力でしょう。
一方で、業務量が多くハードワークであったり、損失へのプレッシャーの大きさ、実力主義で常に学び続ける必要があるなど厳しさもあります。
ですが、M&Aに成功した時は大きな達成感があり、自身の専門知識と交渉力によって企業の新たな一歩を支援できたという充実感も味わえます。
M&Aアドバイザーに挑戦してみたい方は、本記事を参考に就職・転職先として検討してみてはいかがでしょうか!
M&Aアドバイザーに転職する際に役立つスキル・資格などの詳しい情報につきましては、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
また、未経験でのM&A業界への転職に不安がある方はぜひこちらを合わせてご覧ください。
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