昨今、中堅・中小企業のM&A市場は活況であり、それに伴い中堅・中小企業向けのM&A仲介サービスを展開する会社も増加しています。中小企業庁はM&Aに取り組める基盤を構築するため、M&A支援機関に係る登録制度を創設し、2021年9月6日時点では登録業者数は法人個人の合計で493社にも上ります。当記事ではM&A仲介業界へ転職を検討している方に向けて、ご自身にあった仲介会社を選べるよう、上場会社から未上場会社まで幅広く解説していきます。
M&A仲介上場会社と未上場会社を解説
M&A仲介会社で上場している会社(5社)と未上場会社で急成長中の会社(5社)の合計10社について解説していきます。
※2022年1月時点の情報です。また記事の内容について正確性を担保するものではなく、著作者の見解が含まれていることをご了承ください。
上場しているM&A仲介会社
転職者にとって、上場しているM&A仲介会社は人気であり、上場している会社については一通り知っておく事が必要です。
株式会社日本M&Aセンターホールディングス
https://www.nihon-ma.co.jp/groups/
業界のリーディングカンパニーであり、M&A仲介業界では絶対的な地位を確立しています。金融機関から税理士法人まで、幅広い提携先を持ち、同社が扱う案件数は日本で最大です。M&A仲介業だけではなく、企業価値算定に関する事業やM&A後の支援(PMI支援)、TOKYO PRO Marketへの上場支援等、幅広い事業を展開するM&Aの総合会社と言えるでしょう。多角的な事業展開から2021年10月1日に純粋持株会社体制へ移行しています。多くの転職者は、グループ企業の中で中核である株式会社日本M&Aセンターへの転職を挑戦することになります。日本M&Aセンターでは、社内で譲渡企業担当、譲受企業担当と分かれて業務にあたっており、社内で連携しながらM&Aを成約へ導く事が必須と思われます。
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
業界2番手の地位を築いているM&A仲介会社です。同社のマーケティングは、主にライオンを使用したコマーシャルで認知度を高めており、M&A仲介会社の中では珍しいマーケティング手法が特徴です。案件のソーシングについては、他上場会社とは異なり、金融機関及び税理士法人との提携は少なく、ダイレクトメールを送付し、コールドコールを行う手法で案件のソーシングを行っています。また、インセンティブ料率は業界最大基準であり、営業力や行動力に自信のある方にとっては、最適な労働環境と言えるでしょう。案件の成約単価及び報酬も業界最大基準であり、インパクトのある案件や緊迫感のある案件に取り組める可能性が高いです。
株式会社ストライク
2022年に設立25周年を迎える、業界3番手のM&A仲介会社です。同社は金融機関や税理士法人との連携を密にとり、案件を獲得していくスタイルが特徴です。同社の代表取締役である荒井氏は上場しているM&A仲介会社の代表取締役の中では唯一、公認会計士の資格を保有している事もあり、社内には公認会計士や税理士等の資格を保有する従業員が数多く在籍しています。その事から他仲介会社と比べて、営業力を強みとしたM&A仲介業ではなく、知識や知見を活かしたM&A仲介業を強みとしています。その為、営業力よりも知識や知見で勝負したい人には社風や環境は合っていると思います。
名南M&A株式会社
愛知県名古屋市に本社を構える東海・近畿エリアを中心に活動をしているM&A仲介会社です。金融機関や税理士法人と連携をしながら案件を獲得、遂行し東海地方ではトップクラスの実績を誇ります。また母体は名南コンサルティングネットワークで、グループには税理士法人や社労士法人、経営コンサルティング会社等、専門知識や知見を必要とする業務を一括で請け負うことが可能です。同社の強みは、グループで全国約800件以上の医療機関の安定・成長をサポートしてきた実績とノウハウから、医療機関のM&A実績が他仲介会社と比較して豊富です。医療系の知識や知見に自信がある方や、東海・近畿エリアで活動したい方には最適な仲介会社と言えるでしょう。
株式会社オンデック
M&A仲介会社の中では、一番直近(約1年前)に上場を果たした会社です(2022年1月時点)。コンサルティングサービスに自信を持ち、某金融機関とは太いパイプで繋がっています。その事から、案件の大半は紹介による案件で、同社の展開するM&A仲介業のクオリティを裏付けるデータになりそうです。M&A仲介業のクオリティを磨きたい方や経験者の方でクオリティに自信がある方には最適な環境と言えそうです。一方で、現時点(2022年1月時点)では、アウトバウンドの営業は基本的に行っておりませんが、今後の事業拡大の中で従業員数も増えることが予想されるため、以後はアウトバウンドの営業も行っていく必要性が出てくる可能性には注意が必要です。今後、同社に必要とされる人材は営業力のある人材である可能性もあるので、営業力に自信のある方は同社に新しい風を吹かせるという意味で、同社へ挑戦するのも良いでしょう。
未上場で急成長中のM&A仲介会社
M&A仲介事業を専業にし、未上場会社の中でも急成長中な会社を5社解説していきます。
株式会社fundbook
株式会社BuySell Technologiesの創業者である畑野氏が2017年8月に設立したM&A仲介会社です。畑野氏のバックグラウンドを活かしながら、独自のM&Aプラットフォームを用いている事が特徴の一つです。未上場会社の中では珍しく、新卒採用も積極的に行っています。同社の特徴は、M&Aの各フェーズにより担当者がわかれている事です。各フェーズで知識や知見を吸収する事ができるので、網羅的に深く経験する事や、ご自身の得意分野を見つけることができます。また、最大手のM&A仲介会社から経験者を多数採用していることから、経験値の高いM&Aコンサルタントが多く在籍しており、成長スピードや求められる水準は高そうです。
株式会社M&A総合研究所
代表取締役の佐上氏が自らのM&A経験を活かし、2018年10月に設立したM&A仲介会社です。佐上氏のバックグラウンドを活かしながら、独自のM&Aプラットフォームを用いていることや、AIによる候補企業のマッチングなど、M&A仲介会社の中では、テクノロジーの領域を併せ持った会社です。また、業務の効率化にも注力しており、M&AコンサルタントはM&A仲介業務に専念して取り組むことができます。業務効率化やAIマッチングにより、業界の中では一人当たりの案件成約数や案件の成約期間の短さなどで、トップクラスの実績を誇ります。
インテグループ株式会社
2007年6月に設立のM&A仲介会社の中では老舗の会社です。現在では多くのM&A仲介会社が活用している「完全成功報酬制」(譲渡企業向けの料金体系)のパイオニア的存在です。代表取締役の藤井氏は、M&Aに関する多数の書籍を出版しており、同社への入社を検討している方は、一通り読んでおいた方が良いでしょう。社内の労働環境は良好で、設立してから現在に至るまで、退職者は数名とM&A仲介会社の中では珍しく人材の流動性が低い会社です。環境に馴染みながら中長期的に成長していきたい方にとっては最適な会社と言えそうです。
株式会社M&Aベストパートナーズ
東証1部に上場をするM&Aキャピタルパートナーズ株式会社出身の斎藤氏(社長)と松尾氏(副社長)が代表取締役を務め、2018年8月に設立をしたM&A仲介会社です。製造業、建設業、不動産業、ヘルスケア業のM&Aを得意領域とし、それらの領域では豊富な実績と企業ネットワークを保有しています。それに伴い、それらの領域においてのM&A成約実績や事業会社での営業や企画経験のある方が同社には多数在籍しています。
株式会社M&Aコンサルティング
株式会社日本M&Aセンター(当時)出身の松栄氏とインテグループ株式会社出身の依田氏、シリアルアントレプレナーでエンジェル投資家の土橋氏、公認会計士の太田氏が共同で2019年に設立したM&A仲介会社です。同社の特徴は、企業価値を高めて売却をする「Scale型M&A」を独自のサービスとして展開しています。また、松栄氏と依田氏は株式会社キーエンスへ新卒入社後、M&A仲介業界へ転職をした経歴であることから、同社では約半数が株式会社キーエンス出身のM&Aコンサルタントです。製造業、飲食業、美容業のM&Aを得意領域とし、特に美容業では業界の中でトップクラスの実績を誇っています。
M&A仲介会社を選ぶ上で大切なこと
本記事ではM&A仲介会社を10社、解説しました。M&A仲介業界へ転職を検討するにあたり、大切な事はご自身の今後のキャリアプランや働き方、環境などで合っている会社を選択する事です。特に、M&A仲介業務は会社ごとに大幅に仕事内容が変わる訳ではありません。各社の選考において、各社の情報をインターネットや転職エージェントを用いて情報を収集することは勿論のこと、面接官とのコミュニケーションで直接的な情報収集を行い、自分にあったM&A仲介会社を選択することが良いでしょう。
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