M&A仲介業に特化した転職エージェントであるキャリアラダーを運営している筆者は、日々転職を検討されている方の疑問や不安を伺っています。今回は、M&A仲介会社の将来性について考察してみたいと思います。
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M&Aの件数は10年で2倍に!?背景は後継者不在よりも経営者の心境変化?
M&Aに関する統計データを作成しているレコフによると、2021年のM&Aは約4,000超え、10年前と比較すると倍以上のM&Aが行われていることがわかります。
(出典:株式会社レコフ「1985年以降のマーケット別M&A件数の推移」)
この統計を見て、多くの方は「後継者不在問題による特需」という見方をする方が多いと思います。もちろん、後継者不在問題はM&A件数の増加を後押ししていることは間違いないのですが、M&Aコンサルタントとして実際に働いていた筆者としては、後継者不在問題だけではない理由もたくさんあると考えています。3つの視点からその理由と、そこから見えてくる将来性について考察していきましょう。
視点1|M&Aという経営戦略が一般的になってきた
M&Aはかつて、大手企業が巨大な資本力と業界での高い地位を振りかざして行う特殊な経営戦略でした。まさに、テレビドラマや小説に描かれるような、ダークな見え方をする経営戦略だったのです。しかし、M&A仲介会社が事業を拡大していく中で、中小企業の経営者にもM&Aという経営戦略が一般的になりました。M&Aを活用すれば、新しい事業領域への新規進出、同業の買収による人員の増強、取引先の拡大、新しい技術の獲得など、今まで時間をかけていたことが一瞬にしてできるではないかということに、多くの中小企業の経営者が気がついたのです。
視点2|日本経済の停滞と人手不足、そして働き方改革
視点1では、M&Aという経営戦略が浸透したことについて触れてきましたが、視点2はなぜたった10年でM&A件数が倍になるくらいまで、中小企業のオーナーへの浸透が早かったのか、考察することにします。
現在M&Aの譲受企業の中で最も多いのは、創業から30年近くの時間が経過しているような中堅企業や市場の拡大に関わらず中長期的な成長を求められる上場企業です。つまり、成熟市場で長年事業拡大を行っている会社で、かつカネ余りが起きている会社と言い換えられます。
成熟市場では、今後の成長戦略を描いた時に、自力では売上を拡大していくことが難しいため、M&Aで会社を引き受けることで事業を拡大することしか事業拡大の絵を描きにくいのです。いわば残されたパイのうち他社が応需している部分を丸ごと引き受けてしまおうということです。また金融緩和により金融調達コストが極端に安いことも後押ししているでしょう。
高度経済成長期を経験した経営者は、商品を作れば売れる、人を採用すれば一生懸命長時間働くという事業環境で経営をしてきました。しかし、現在はどうでしょうか。日本経済は成熟し、人口も増えない。働き方改革により労働も減少する。つまり、働き手も減り、働く時間も減り、給料は上がらないので消費も落ち込んだままという市場環境ですね。
もはや、M&Aなしでは企業成長が実現できないという状況になっている訳です。
M&A仲介会社のコンサルタントは、今や譲受企業にとって、企業拡大を実現していくパートナーの役割を果たしています。後継者不在問題ばかりにフォーカスされるM&A仲介会社ですが、それだけではない市場拡大の理由が見えてきたと思います。
視点3|後継者不在問題はあくまで人間の生死に由来するニーズであること
冒頭、M&Aの拡大は後継者不在問題の拡大が後押ししているとお伝えしました。では中小企業の経営者の世代交代がひと段落したら、もうM&Aは起こらないのでしょうか。M&A仲介会社の役割は終わってしまうのでしょうか。
筆者は、全くそんなことはないと考えています。後継者不在問題はあくまで人間がいつか死亡することに由来する、世代を問わない、全経営者に共通した課題です。従って、M&A件数の増加ペースは落ちるものの、これからもM&A仲介業は市場に必要とされるビジネスだと考えています。
転職を検討される方の中で、後継者不在問題がひと段落した後の、ご自身のキャリアを心配される方がいらっしゃいますが、筆者は視点1でお伝えしたように、M&Aという経営戦略が一般化した現在では、今後も必要とされるスキルであると考えています。
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