海外留学の経験や海外赴任などで得た英語力をM&A業界でも活かしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、現在のM&A仲介会社はほとんどが国内の中小企業同士のM&Aをサポートしています。
「M&A仲介業界に挑戦したいけれど、せっかく身に着けた英語力を使わないのはもったいない」と思われている方へ、「なぜ英語を活かす場面が少ないのか」「英語力を生かせる企業はないのか」について解説していきます。
目次
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そもそもM&Aとは
M&A(エムアンドエー)とは『Mergers(合併)and Acquisitions(買収)』の略です。
M&Aの意味は、企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになったり(合併)、ある会社が他の会社を買ったりすること(買収)です。
M&Aの広義の意味として、企業の合併・買収だけでなく、提携までを含める場合もあります。
中小企業でもM&Aが活発化している
ゼンショーHDがロッテリアを買収した事例や、KDDIがローソンを買収した事例など今や企業の成長戦略として欠かせない手段の一つになっているのがM&Aです。
しかし現在、ニュースで見るような大規模なものばかりではなく、中堅中小企業や従業員数5名程度の零細企業の中でもM&Aが活発的に行われています。
中小企業のM&Aは年々右肩上がりで上昇中
中小企業庁の2022年6月の発表によると、2022年の中小企業のM&Aは事業承継引継ぎセンターが1514件、中小企業M&A仲介大手5社が899件、バトンズ経由で463件となり前年と比べて300件以上が増加しています。
中小企業がM&Aを使う理由
これまでM&Aは大企業の成長戦略として使われてきましたが、中小企業でもM&Aが使われる理由は主に以下になります。
<譲渡企業がM&Aを活用する主な理由>
- 後継者不在の解決手段
- 大手企業の資本の活用
- 事業ポートフォリオの再編
- 創業者利益の確保
60歳以上の経営者のうち60%超が将来的な廃業を予定している
経営者の高齢化が進む近年、後継者不在の企業が増えてきておりその解決手段としてM&Aが有効であるとされています。
帝国データバンクの発表によると
“日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち60%超が将来的な廃業を予定。このうち「後継者難」を理由とする廃業が約3割に迫る。”
とされている。
改善傾向にはあるものの、後継者のいない中小企業が事業を継続し雇用を守るにはM&Aという手段が活用されることは変わらないと考えられます。
そのほかの理由についてはまた別記事でお伝えしていきます。
海外企業とのM&AをクロスボーダーM&Aという
海外企業とのM&AをクロスボーダーM&Aといい、M&Aの当事者である譲渡企業・成就企業のいずれか一方が外国企業である場合を指します。
クロスボーダーM&Aには、日本企業が海外企業を買収するIn-out型や海外企業が日本企業を買収するOut-in型など4種類ございます。
日本企業の海外進出はM&Aの活用が有効
現在In-Out型のM&Aの市場は拡大しており、クロスボーダーM&Aの成約件数推移を種類別にみると、2023年のIN-OUTは661件(前年比5.8%増)であり、成約総額は8.1兆円で前年から134.0%の大幅増となっています。
日本は少子高齢化・人口減少の影響もあり、日本市場での需要の拡大が見込めない業界が多くなってきています。そんな中、海外市場に目を向けた際にM&Aを活用することで下記のようなメリットが考えられます。
- 新市場開拓
- 新技術・ノウハウの確保
- 外国人材確保
など、日本では手に入らないモノがM&Aを使うことで短い時間で活用することができます。
クロスボーダーM&Aは仲介を行うのが難しい
現在中小M&A仲介会社の大手の中で、積極的にクロスボーダーM&Aを行なっている企業は『日本M&Aセンター』ぐらいでしょう。クロスボーダーM&AはFA案件がほとんどになっています。その理由として主に以下が考えられます。
- 数年かかるケースもあり、現在のM&A仲介会社の給与体系に適していない
- ディールサイズが大きく、1人で対応することが多いM&A仲介会社では対応できない
- カントリーリスクに対応するだけのノウハウがない
- 英語を話せるM&Aアドバイザーが少ない
M&A仲介は1人で成約させるからこそのインセンティブが魅力
M&A仲介会社に入ってくる人のほとんどが、20代での年収3,000~1億円といった高年収を魅力に感じて入社します。年間1~2件の成約におけるインセンティブで年収を上げる給与設計となっているため、成約までの期間が長い案件に付きっきりになってしまっては給与が乱高下してしまいます。クロスボーダーM&Aは案件の規模も大きくなり、国境をまたぐため日数も非常にかかります。現状の給与設計ではM&A仲介会社のアドバイザーが、クロスボーダーを担当してしまっては、年収が安定しない可能性が高くなっています。
M&A仲介会社は国内がメインでここまで成長したため、外国でのM&Aノウハウが蓄積されていない
国によって規制・法律・経済情勢や政治情勢など状況が様々です。日本企業とやり取りしながら、その国の法律を把握し、M&Aを進めていくには知識と経験が必須になります。現在M&A仲介各社は日本国内の事業承継問題への解決をメインに成長してきた背景から、そのノウハウが蓄積されていません。このこともクロスボーダーM&Aに仲介会社が参入しきれていない要因の一つとなっています。
そもそも英語を話せるアドバイザーが少ない
M&A仲介業界は、証券・金融・不動産などで大きな実績を残した営業マンを主に採用ペルソナと設定しています。そのため、これまで「英語が話せる」ことを採用要件として設けてこなかったこともあり、現状在籍しているM&Aアドバイザーに英語をビジネスレベルで扱える人がほとんどいません。
そのためクロスボーダーM&Aに取り組もうとしても、「M&Aのスキル」「英語力」がともに備わっている適任者がいないのが現状です。
英語力を活かせる企業・求人もある!
しかし、需要の拡大に伴いM&A仲介会社でもクロスボーダーM&Aに注力し始めている企業もございます。
弊社でご紹介可能な企業は
- 日本M&Aセンターの海外事業部
- M&A総合研究所の海外M&Aチーム
- M&A仲介業界の老舗『レコフ』
の3社でございます。
詳しい情報はこちらの記事でご紹介しておりますので、合わせてごらんください。
まとめ
今回はなぜクロスボーダーM&A市場にM&A仲介会社が参入してこないのかをメインにお話ししました。業界でもTOPを走る日本M&Aセンターやそこに追いつく勢いのM&A総合研究所が海外事業部に力を入れてきていることからも、今後「英語が話せる」M&Aアドバイザーの需要は高まってくることが予想されます。
留学経験や英語力を生かしたクロスボーダーM&Aに興味のある方は、一度M&A業界への挑戦を考えてみてはいかがでしょうか。
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